表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/28

適材適所

「ロサ、今日は足立区の○○神社の境内まで行ってくれ」

「えー、足立区ですか~!遠いな~」

「でかいのがあるらしいからな!」

でかいのとは当然スズメバチの巣のことだ。

「防護服をしっかり着込んで行けよ。刺されたらひとたまりもないからな・・」

「はーい」

まあ、私には防護服なんて必要ないけどね。私の体を刺したとたん、スズメバチの方が瀕死の状態になっちゃうんだからさ。


「こんにちはー! セキュリティーカンパニーのロサでーす」

「ああ、よろしくお願いします・・て言うかお嬢さんが巣の駆除をしてくれるのかい?」

「はーい!お任せください」

「はあ?!」


「あそこです」男が指差す先には、直径1メートルはあろうかという巨大なスズメバチの巣が!

巣の周りには何びきかのスズメバチが飛び交っている。

「はい、了解しました!」

「気を付けてくださいね」

そう言って男は去っていった。


そしてロサは、スズメバチの巣に向かって息をフーっと吹き掛けた 、ドクツルタケ の毒素入だ。作業はこれで終わりである。


「終わりましたよー!」

「何が?」

「何がって、駆除ですけど」

「何の?」

「蜂の巣の・・」

「それはどうも・・」

男があっけにとられるのも無理はない。所要時間はたったの1分なのだから!


ユカの今日の仕事は、ウサギやハムスターのノミとダニの駆除。ユカの場合も仕事は簡単!ただ動物を撫でたりだっこしたりするだけでいいのだから。あとは、体から出るヤマドリダケの毒素が、ノミやダニをやっつけてくれる。

それにしてもウサギってかわいいよね!特に目なんて私にそっくりだわ!赤紫で・・。


クレの今日の担当は、バラの花の害虫駆除。こんなとき彼女は、いつも悲しいことを想像する。その時こぼれる1滴の涙を大量の水に混ぜ、それを植物に散布するのだ。この際、間違っても2滴以上の涙をこぼしてはいけない。そんなことをしたら、花ごと枯れてしまうから!それに、バラ大好きのラネに、あとで何を言われるかわからないしね。


ラネの仕事は除草係。広い敷地に、庭石が置かれ、池には沢山のコイが泳ぎ、滝が落ちる日本の伝統的庭園も、草ぼーぼーでは話にならない。ラネはペロッと指先を舐め、貯水槽にその指を浸す。あとはスプリンクラーのスイッチを入れるだけ。こうすれば綺麗に雑草だけが枯れていく!


こうして4人の一日は過ぎていく。適材適所とは、彼女達のためにある言葉なのだ!


今夜のディナーはインド料理!4人ともスパイシーな味が大好きだ。するとそこにまたしても・・。


「ふうー、この匂いたまらないよなあー。まるでインドに来たみたいだぜ」とタカシ。


「ロサ、またあいつらよ」とラネ。

「本当だ。あんなこと言っちゃってさ、インドなんて行ったことないくせに!」


「オサム、あの娘達・・」

「あっ!いつかの・・」


「うわ!また今日もあの過激なファッション」ドン引きのミユキ。

「どこにいても目立つよね!」とヒロコ。


その時だった。タカシとロサの目が合ったのは!!

なんだこの感じは!?視線が外せない。体がいうことをきかない。鼓動がバクバク、どんどんスピードを速めている。

「タカシ、どうしたの?」そうミユキに言われるまで、僕の体はガチガチに固まっていた。

「いや、何でもないよ」


うっ、視線が外せない。何なのこの感覚は!?どうしちゃったの私、体が動かない。あの男の瞳に吸い込まれて行きそう・・。

「ロサ、ロサ、どうしたの?」そんなクレの言葉さえ耳に届かないほど!

「えっ?・・うんん・・」

「変なロサ」


「ここのカレーは超人気なんだよな!このサラサラのルーが絶品でさ、スパイスの加減もちょうどいいし・・」そんなオサムのうんちくなど、ひとつも聞こえていないタカシ。

「オサム、本当にわかって言ってるの?」とヒロコ。

「当たり前さ!この前雑誌で読んだんだから」

「やっぱりね・・」

「タカシ、タカシ・・」

「えっ?」

「なに、さっきからボーっとしちゃって」

それがタカシにもはっきり理解出来ていないのだ。


「あれ?ロサ、赤くなってるよ」ロサの顔を覗き混むユカ。

「何が、最初から赤いわよ私の目は」

「目じゃなくて頬っぺだよ!」

「えっ!」思わず手を頬にあてるロサ。

「熱でもあるんじゃない?」とラネ。

「大丈夫よ」

「そう、ならいいけど」


タカシとロサ、この二人、不意に目が合ってから、妙な感じになっちゃって。これってもしかして恋のシンパシーってやつ・・!?


「おいタカシ、今日のお前なんだかおかしいぞ」店を出るなりオサムが言った。

「そうよ、ずっとぼんやりしちゃってさ!」とヒロコ。

「タカシ・・まさかあなた・・」

ミユキの直感は、嫌な方に嫌な方に進んでいた。

「何でもないって」

こんな時の女の勘は鋭いのだ!


「あー美味しかったね!」満足顔のクレ。

「ロサ、あまり食が進まなかったみたいだけど」とラネ。

「そんなことないよ。美味しかったし・・」

「なーあんか変ね?!ロサ・・白状しなさい」

怖い3人の勢いに、ロサは負けていた。


「何よそれ!」叫ぶユカ。

「この辺がドキドキしてるの?」ロサの胸に手をあてるラネ。

「それは恋患いだね」ズバリ言うクレ。

「そうなのかしら・・」

ロサは自分の鼓動の大きさに、少し戸惑っていた。


「タカシ、あの中の誰かを好きになっちゃったのかも」

ヒロコの耳元でミユキは言った。

「えっ!あの中って?」

「例の4人組よ。派手な衣装の」

「まさかあー・・、だってタカシにはミユキがいるじゃない」

「私達はただの友達よ」

「うそ!好きなんでしょ、タカシのこと」

「そりゃあ、いいなとは思うけど・・」

「考えすぎよ」

「そうかなあ?」


「ヒロコ、ミユキ、二次会はカラオケでいい!?」

前の方からオサムが叫んでいる。

「うん」


「じゃあ二次会はカラオケにしようか!」とラネ。

「そうだね!久しぶりだよねカラオケ」ノリノリのクレ。

「ロサも行くでしょう?」

「うん」

「大声を出してモヤモヤをぶっ飛ばそう!」

「そうだね」なんとか笑顔が戻ったロサ。


「今日は金曜か、混んでなきゃいいけどな」

「そうね、急ぎましょ!」

「タカシ、行くよ」とミユキ。

「そうだな、パーっと歌うか!」


「4人ですけど空いてますか?」と店員に聞くオサム。

「ああ、今は8人からの広い部屋しかないな」

「えー、そこをなんとか4人で・・」


「すみませーん、4人なんですけど・・」

「ありゃあ、こちらも4人か・・そうだ、あっちのグループと合流しちゃったら!」

「あっちの・・ああー!」叫ぶクレ。


「ああー!」叫ぶヒロコ。


どこに行っても一緒になっちゃうね!









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ