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悪魔と孤児  作者: 黒衛
11/18

十、 音楽の町トリル



大きな音楽ホールが街の目玉だった。

真っ白な外壁に丸い天井の建物は、街に入る前からずっと遠くに見えていた。

青空によく映えるデコレーションケーキみたいな建物が音楽ホールだと聞いた時、孤児は何て大きいんだろうと思った。

そこが音楽の町と言われるのは、元々楽器作りが盛んであったのが所以らしい。

楽器を求めて演奏家が集まり、演奏家を求めて作曲家が集まり、そうしていつか町は音楽家の集まりに変わっていた。

今では大きな音楽院学校ができ、毎年国の外からも中からも、大勢の若者が音楽家を志して集うようになった。

厳しい試験に多くの志願者はふるい落とされ、極一部の才能だけが研鑽を積める。

途中で脱落する者は、他の学校に通い直すか、或いはピアノの家庭教師などして生計を立てる。

それでも尚音楽への夢が捨てられない者は、路上弾きになる。街角演奏家だ。

上手くすれば、どこかの楽団員に目を掛けられるかも知れない。作曲家に気に入られて曲を貰えるかも知れない。

そうでなくとも、そこそこの腕があれば酒場で流しの演奏くらいはさせて貰える。

もっと上手くいけば、一晩のステージが貰えることもある。

だからこの町には、路上演奏家が大勢居た。

孤児は珍しそうにそれを眺めた。

「すごい!この人たちみんな音楽家なんだ!」

『その卵か、成り損ないってところだがな』

悪魔が横からいらない口を挟んで訂正する。

興を削がれて、孤児は不服気に悪魔を見上げる。

「そんなこと言っちゃ失礼だよ。

 この中からすごい音楽家が出るかも知れないのに」

『あぁ、物凄く低い可能性だがゼロじゃないな。物凄ぉく低い可能性だが』

わざわざ強調して繰り返す辺り、悪魔の性根の悪さが見える。

底意地の悪い悪魔など捨て置いて、孤児はそれぞれの演奏家が奏でる様々な楽器に目を奪われた。

S字型に曲がった金色のラッパ、ぴかぴか光る銀色の横笛、椅子に座って大きな弦楽器を抱えている若者もいる。

他にも、孤児の見たこともない楽器がたくさんあった。

演奏でなく、歌を歌っている声楽家もいた。

目を輝かせる孤児の隣で、悪魔は退屈そうに欠伸する。

『どうせならもっと良いものを聞けよ、坊や。

 折角こんな町に来たんだ。音楽ホールの演奏会に行けばいいじゃないか』

この町の中心の音楽ホールでは、月の半分は演奏会が催されている。

だけど孤児は、浮かない顔で呟いた。

「演奏会って、ずっと静かにしてなくちゃいけないんでしょ?」

悪魔は、ははぁんと頷いて笑みを深める。

『さては退屈で我慢できなくなりそうなんだな、悪戯っ子のハニービーちゃん?』

それは図星で、孤児は拗ねた顔でそっぽを向く。と、悪魔は小首を傾げて考え込むような素振りを見せた。

『そうだな、じゃあこれならどうだ。悪戯妖精ちゃんも退屈しなくて済みそうだろう?』

さっと悪魔が懐から取り出したのは、二枚の切符。

場所は音楽ホール。時刻は昼。演奏会ではなく、劇団名が書かれている。

『演奏会は夜だから、空いた昼の時間には歌劇をやってるそうだ』

目の前にぶら下げられた切符をまじまじと見つめた孤児の顔に、驚きと期待の表情が浮かぶ。

『お気に召したかな?』

「行く!行きたい!ねぇ行っていいでしょ?」

悪魔の手から切符を引ったくって、孤児はそれを珍しい宝物のように掲げて眺めた。

あっという間に機嫌の直った孤児に、悪魔は現金な坊やだと肩を竦めてみせるが。

そのからかいすら、今の孤児には気にもならなかった。

演奏会は、紳士や淑女のための文化的で高尚な娯楽だが、歌劇はもっとずっと敷居の低い大衆的な娯楽だ。

音楽家の町とはいえ、誰も彼もが宮廷演奏家を目指す訳でもない。

劇団の演奏家になりたい者もいれば、巡回芸人になりたいものもいる。

この町は、音楽と楽器を愛する者を区別したりしない。

音と旋律によって誰かを楽しませる催しならば、いつだって受け入れてくれるのだ。

孤児が訪れたこの日は、半年に一度やって来る歌劇団の喜劇公演の三日目だった。

白壁の音楽ホールは、開演時間を楽しげに待つ人達で溢れていた。その中に孤児もいた。

会場前で配られるパンフレットを眺めたり、ポスターを見上げたり。

開場してからは、続々と埋まっていく客席の一つに陣取って、幕の上がる時を心待ちにした。

やがて席は全て埋まり、静かに館内が暗くなって、緞帳が上がる。

演目は『ドロード伯爵』。

孤児は知らなかったが、有名な喜劇であるらしい。とパンフレットを読み聞かせる悪魔が教えてくれた。

主人公は、場末に住む若い青年役者。酒場で見かけた歌姫に惚れて店に通い始めるが、花や贈り物を持って行っても売れっ子の歌姫には声を掛ける隙も無い。

何とか一度言葉を交わしたいと主人公が友人に相談すれば、友人はこんな提案をしてきた。

“酒場に不釣合いなくらいとびっきり上等の格好をして、歌姫の出る日に二三日通え。

 けれど自分からは決して声を掛けるな”と。

主人公は衣装係に頼み込んで、頭から爪先まで貴族か豪商の子息のように装い、酒場に通い出す。

幾晩も一人でグラスを傾けていたある日、ステージを終えた歌姫が珍しく一杯飲みに出て来た。

歌姫は主人公の隣に座って声を掛ける。

“最近よくいらしてますね”

主人公は、どぎまぎしながら歌姫に答える。

“あなたの歌を聞きに来ているのです”

それを聞いて歌姫は喜び、主人公とお喋りを始めるわけだが、この時職業は何かと聞かれて、主人公は嘘をついてしまう。

“今はお忍びで旅をしているが、隣国に帰ればドロードという名の伯爵だ”と。

それを信じ込んだ歌姫と、罪悪感と板挟みになりながらも、歌姫にがっかりさせたくない一心で嘘をつき通す主人公の物語だ。

『貴族ならダンスがお上手でしょう?』

『私は昔からダンスが下手で。バイオリンなら弾けます』

しかし、不恰好に構えて弦を弾けば、奏でるのはギィギィと酷い音。

『とっても個性的なメロディだわ』

『思い出しました。昔バイオリンの先生に言われたんです。私には無理だ、2度と引くなって』

自分の嘘にどたばたと慌てる役者と、そんな気も知らずに笑っている歌姫。主人公に難題を持ち込まれては、呆れながらも知恵を授ける利口な友人の掛け合いが大層愉快で、孤児はすっかり舞台の世界に引き込まれてしまった。

隣国の本物の貴族がやって来たり、歌姫を口説く恋敵が現れたりと一悶着あった後、結局嘘はばれるのだが、役者は次の舞台で“愉快な法螺吹き男爵”の役を貰い、芝居を見に来た歌姫に舞台の上から愛の告白をして結ばれる。

そんなハッピーエンドだ。

大歓声で幕が閉じた後も、孤児は暫く興奮冷めやらぬ様子で、気に入ったシーンや台詞、歌や音楽について取り留めもなく悪魔に話しかけていた。

悪魔はそれを聞きながら、相槌だけをついて孤児の語るに任せていた。

ぞろぞろと劇場から去って行く人の波に紛れて外へ出れば、日はすっかり傾いて、街は夕闇に染まっていた。

通りのそこかしこに立っていた街頭演奏家も、今はぽつりぽつりとしか残っていない。

晩飯には少し早いがと言って、悪魔は孤児を小さなピアノバーに連れて入った。

丁度イブニングドレスを着た女の人がピアノを弾きながら歌っていて、それを孤児はお芝居の歌姫のようだと思った。

適当な席に腰掛け、悪魔はホットワインとチーズを注文する。孤児は軽食と甘いココアを。

二つの温かいカップで小さく乾杯して、それぞれ腹の中から温まるような液体を、自分の喉に流し込んだ。

「お芝居面白かったね」

『まぁ悪くはなかったな。少々私の趣味とは異なるが』

チーズやサンドイッチを齧りながら話す話題は、やはり劇のことだ。

「素直に面白いって言えばいいのに」

『好みじゃないだけさ。面白くないとは言ってない』

ポテトフライやソーセージの盛り合わせなどを追加注文しながら、食べて喋って腹も満たされ始めた頃、二人はテーブルに地図を広げた。

そこには、トリルを中心に周辺の街道と町の位置が記されていた。

南から伸びてトリルの西でY字に分かれる街道の先は、それぞれ地図の真北と北西に消えている。

「もうじき冬だね」

と孤児が言った。

悪魔は寒かろうが暑かろうが構わないが、孤児はそうではない。寒すぎても暑すぎても困る。

その辺りは悪魔も心得ていて、風邪でもひかれては面倒だとはちゃんと分かっている。

『西へ行けば海、北へ行けば山。

 さてさて、お前のパパとママはどっちへ行っただろうね?』

薄い唇を歪めて笑う悪魔に、孤児はむすっと不機嫌な表情を見せた。

両親を探す孤児の旅は、恐らくまだとても長い。

どこにいるのかも分からない両親を探し歩く孤児の不安を、悪魔は煽るばかりだ。

『どっちに行きたい、坊や?』

「海」

意外にもきっぱりと、孤児は答えた。

「北は寒いもの。海がいい」

『そうかい。じゃあ、そうすればいいさ』

この旅は、孤児の旅だ。

だから悪魔は、行き先には口を挟まない。

旅の指針が決まったので、悪魔はさっさと地図を片付けた。

後は出発する気になる日までのんびりする。

トリルには大きな乗合馬車の駅があるが、隣町には馬車が止まらないので、徒歩で行くしかない。

「ジョンが連れてってくれればいいのに」

無駄と思いつつ言ってみれば、悪魔はにやりと笑って頷いた。

『連れて行ってやってもいいよ?一っ飛びで。簡単さ。

 契約書にサインさえ貰えればね』

案の定、悪魔が親切であったりすることなどなかった。

「じゃあいいや。ジョンは悪魔のくせにケチだね」

『悪魔だからさ。対価もないのに奇跡を恵んでやるつもりはないね』

孤児があっさりと諦め、悪魔が意地の悪い返事をした時、

「……悪魔?」

隣のテーブルからぽつりと囁きが漏れ聞こえた。

見れば、一人で麦酒を飲んでいる若い青年が、驚いたような顔で孤児と悪魔を眺めている。

孤児はしまったと思った。悪魔は平然と答えた。

『そうだよ。悪魔さ。ここじゃ珍しくもないだろ?』

演奏家、作曲家、様々な音の芸術の天才が集まるこの町には、時々悪魔と契約したとか天使に曲を貰ったとか噂される音楽家がいる。

例えば、妖精の歌を歌うと言われたディ・ディゾや、悪魔と友人になり“魔王の哀歌”を教わって譜面に起こしたというミヒャエル・ヴァイセ。

まるで自分もそうだと言うかのように、悪魔の言葉は青年には聞こえた。

その勘違いにかアルコールにか、青年は頬を紅潮させながら、孤児と悪魔のテーブルまで椅子ごとやって来た。

汗をかいた麦酒のグラスを片手に、足元にバイオリンのケースを立てかける。

既に何杯も麦酒を空けていて、ほろ酔いの様子だった。

「私も音楽を志してるんですよ。失礼ですが、あなたは何を?」

『私は弾かない。歌うんだ』

青年が思い違っていることを知らない孤児は、悪魔と聞いて驚かない青年を不思議そうに眺めた。

それから、歌うのが得意だと言った悪魔にも。

「ジョンが歌うの?」

『そりゃあ歌うさ。悪魔は楽しいことなら何だって好きなんだ』

「楽しい歌というと、どこかの劇団に?それとも楽団ですか?」

いいや一人だ、と答える悪魔に目を丸くし、青年は鞄から一枚のチラシを取り出した。

「羨ましい。私もソロでやっていけるような、立派な演奏家になりたい。

 これを見て下さい。来週このトリルで大きな演奏会があるんです。

 無名の若い演奏家を集めて行うコンサートです。一番上手い演奏家はソロデビューできるんですよ」

「お兄さん、それに出るの?」

チラシを覗き込みながら孤児が尋ねる。

青年は力無く頷いた。

「出るよ。やっと出られるんだ。応募して断られてもう三年だけど、今年はようやく出られる」

だけど青年の表情は浮かない。

「自信が無いんだ。どうしても一番にはなりたい。早く一人前の音楽家になって、故郷に待たせている婚約者のところに帰りたいんだ。

 でも、とてもそんな自信は……」

ふーん、と悪魔はほくそ笑んだ。

『で?お前は私に何をして欲しいんだ?』

俯きかけていた青年は、はっと悪魔を見た。

『人間が悪魔に話しかけるのは、何かお願い事がある時だって相場が決まっている』

薄ら笑う悪魔に、青年は真剣な目を向けて言った。

「……曲を、教えて貰えませんか?」

『曲?』「曲?」

問い返す悪魔と、孤児の声が重なった。

「曲です。演奏会では、決まった曲を一曲、自由に好きな曲を一曲、合わせて二曲演奏するんです。

 決められた曲はずっと練習してきました。上手く弾けるつもりもあります。

 でも、もう一曲が選べなくて……何を選んでも失敗しそうな気がして仕方ないのです。

 だからどうか、私に曲を教えて頂けませんか!」

悪魔は呆れたような視線を青年に返した。

『まどろっこしいな。そんなことより、手っ取り早く演奏の腕でも欲しがったらどうだい?

 世界一の音楽家にしてくれ、とね』

青年は驚く。

「そんなことができるのですか?あとたった一週間もないのに?」

『悪魔だと言ったろ、私は?

 簡単なことだよ。サイン一つで済む。お前がきちんと対価を払うならね』

そこでようやく、青年は己の勘違いに気づいた。

「まさか……悪魔って、本物の……?」

その通り、と悪魔は頷く。

『どうするね?お前が魂を寄越すなら、今すぐにでも世界一のバイオリン弾きにしてやるよ』

恐れをなした青年は黙りこくってしまった。

迷っているのだ。

演奏会には優勝したい。けれど、悪魔と契約するなんて神にも背く恐ろしい所業だ。

と、そこに孤児が口を挟んだ。

「ダメだよ!」

青年は孤児を見た。

「ジョンに何かお願いなんかしたら、ひどい目に会うよ!」

それを聞いて、すかさず悪魔が反論する。

『失礼なことを言うなよ。まるで私が取って食うみたいじゃないか』

悪魔は契約には誠実だ、と。契約書にある約束に限っては、絶対に違えることはない、と。

そして、青年にも告げる。

『よぉく考えろよ。悪魔と契約できるチャンスなんて、滅多に無いぞ』

青年はぽつりと答えた。

「魂は……困ります。でも、上手くなりたい。

 お願いします、曲を教えて下さい!“魔王の哀歌”みたいな、誰もが驚くような曲を!」

悪魔は首を傾げて見せた。

『それはつまり、私から曲を買おうと言うのだね?』

「そうです。何を払えばいいですか?魂より高いことは無いでしょう?」

悪魔は少し考えた。

『……寿命。一回演奏するごとに命を削る。それでも良けりゃ教えてやるよ』

「是非お願いします!」

青年は、今度は迷わなかった。

悪魔はすぐに契約書を作った。

青年が持っていたチラシの裏に、簡単に書き付けただけの契約書。


【私は悪魔オールド・ジョンから、寿命を対価として曲を買います。

 一度の演奏ごとに、半年の寿命を払います。

 この曲を誰が作ったものかは秘密にします。私が作ったとも偽りません。

 この契約を破った時には、二倍の対価を以って報います。

                        署名:              】


『よく読めよ。お前は演奏の度に死に近付く。

 私のことを喋ってはいけない。自分の作曲だと嘘をついてもいけない。

 後から取り消すなんてことはできないぞ』

見たことも無い記号なのに意味だけは分かる、不思議な悪魔の文字で書かれた契約書を何度も繰り返し読んで、最後に青年はサインした。

直後、契約書はくるりと丸まって、するりと悪魔の懐に収まる。

「さぁ、署名したよ。曲を教えてくれ」

『もう教えたよ。お前は曲を知っている』

不思議そうに訝しげに、青年は悪魔を見返す。

『弾こうとしてごらん。自然に思い出す』

半信半疑ながら、青年はケースからバイオリンを取り出して、肩に乗せた。

弦を持って構えた途端、青年は息を飲んだ。

頭の中に、旋律が蘇る。

一度も聞いたことの無いメロディが、記憶の中から湧き上がってくる。

それこそ悪魔の音楽なのだと知るより早く、手が先に動いていた。

もの悲しく、野性的で、繊細なのに、慟哭のように激しく、

おどろおどろしく、背筋を駆け上り、心を揺さぶる、荘厳な響き。

胸苦しいほどの、圧倒的な音の暴力。感傷の洪水。

一心不乱に腕を動かし続け、気付いた時には一曲演奏し終わっていた。

誰もが呆然と耳を傾けていた中で、悪魔だけが目を閉じて陶然とそれを味わった。

『いい音だ……本当に、人間は素晴らしい』

悪魔の零したその呟きを、孤児は聞かなかった。割れるような拍手に飲み込まれて。

周りの席の酔客たちが寄ってたかって青年に声を掛ける。

驚いた、凄い演奏だ、名のある奏者か?と。

青年は戸惑って、同時に悪魔の曲の恐ろしさも実感した。

たった一度引いただけで、全身を疲労が襲い、眩暈までする。

しかし、これさえあれば演奏会でも間違いなく一番が取れる、と。

客に囲まれ、麦酒を奢られ、暫くしてから青年は悪魔と孤児と一緒に店を出た。

「どうもありがとう、これで自信を持って演奏会に挑めるよ」

それを聞いて悪魔は忠告する。

『勘違いするなよ。お前の腕が良くなったわけじゃない。それと、契約を忘れるな』

「忘れないよ、絶対に」

忘れられるものではない。

片手を上げて別れの挨拶とし、離れていく青年に、その後を孤児が追いかけた。

青年の服の裾を掴んで止める。

「ジョンの曲なんか弾いちゃ駄目だよ。弾かない方がいいよ!」

振り向いて、青年は笑んだ。

「分かってるさ、悪魔の曲なんか恐ろしくて滅多に弾けるもんじゃない」

だけど、孤児は首を横に振った。

「分かってないよ!命を取られるんだよ?ジョンに殺されちゃうかも知れないのに!」

「大丈夫。演奏会に優勝したら、二度と弾かない。そうしたら、悪魔だって寿命を取れない」

だから大丈夫だと青年は言う。

それでも、孤児は納得しない様子だった。

「心配してくれてるんだね。

 約束するよ。演奏会が終わったらもう絶対、二度と弾かない」

「……約束?」

「約束だ」

それを聞いて、やっと孤児は青年の服を放した。

『何してるんだ坊や、帰るぞ』

後ろから呼ぶ悪魔に振り向いて、そこで孤児は青年と別れた。



悪魔と孤児がその町に留まって、四日経った。

酒場や町のあちこちでは、演奏会の話題で持ちきりだ。

中でも噂になっているのは、凄腕のバイオリン奏者のこと。

悪魔から曲を買った、あの青年のことだった。

あれから毎晩、どこかの店で弾いているらしい。

その話を聞くに、孤児は気が気でなかった。

それを見透かしたように悪魔は言う。

『私は何もしないよ。契約にあること以上はな』

契約や約束においては、悪魔が信用足りえることは孤児も知っている。

けれど、不安が拭えない理由を孤児は自分自身説明できなかったから、一先ずそれは置いておこう。

「そういえば、ジョンも弾けるんでしょ?お兄さんに教えてあげた曲」

曲?と悪魔は聞き返した。

『あぁ、歌ってやろうか?』

「歌なの?」

『本当は歌さ。教えたのはメロディだけだけど』

聞きたい、と孤児は言った。今度な、と悪魔ははぐらかした。

なぁんだ、とがっかりしながら、孤児はぽつりと零す。

「悪魔の歌ってどんななの?」

『変わらないよ、人間のと』

「ふーん。ジョンは、歌とか音楽が好きなんだね。だって、何だかずっと機嫌がいいもの」

それを聞いて、悪魔は薄っすらと、微かに憧憬を滲ませた笑みを浮かべた。

『人間の音楽は好きだよ。怒りも悲しみも喜びも憎しみも絶望も希望も、そして愛情も。

 全てあらゆる人間を突き動かす無限のエネルギーだ。それを込めて奏でられる音楽は素晴らしい。

 我々に、そんな感情はないからね。悪魔の技術と人間の感情があれば、きっと世界一の音楽が弾けるだろうに』

悪魔は楽しいことが好きで、ジョンは音楽が好き。

だから、もしかしたらそれが理由で、青年に曲をあげたのかも知れないと、孤児は思った。

孤児が呟く。

「お兄さんが、ちゃんと約束守ってくれるといいね」

悪魔はせせら笑う。

『私はどっちでもいいがね』

孤児の懸念が形になったのは、その日の午後。

街角で曲の練習をしていた青年の元に、ある楽団の団長が訪れた。

それはとても大きくて有名で、いくつもの国を公演して回るような、そして青年が憧れている楽団でもあった。

団長はこう言った。

「昨日入ったバーで君の演奏を聞いてびっくりしたよ。

 こんな才能を埋もれさせておくなんて、音楽界の多大な損失だ。

 是非うちの楽団に入らないか?」

青年はこれ以上ない程驚いた。

「も、勿論です!是非!お願いします!」

当然、一も二も無く承諾した。

青年の返事を聞いて、団長も嬉しそうに頷く。

「ありがとう、ありがとう。知っての通り、うちの楽団はいろんな国を回って素晴らしい音楽を伝えている。

 君には是非ともあの曲を世界中で弾いて欲しいんだ。今度の演奏会には出るのだろう?

 優勝してくれれば君のために独奏のステージを用意することもできる。期待してるんだ」

青年は天にも昇るような心地だった。

悪魔と出会ったあの一晩で、全てが劇的に変わっていた。

酒場では評判になり、名が売れ、楽団からスカウトまでやって来た。

これで胸を張って故郷に帰れる。婚約者とも結婚できる。

そう思った矢先、団長が尋ねた。

「ところで、君の引いていたあの曲の名を私は寡聞にして知らないのだが何というのかな?」

青年は困った。悪魔から曲名を聞くのを忘れていたことに気付いたから。

「えぇと……その、あれは悪魔に……」

言いかけて、契約の内容を思い出す。

“悪魔のことを話してはいけない。自分が作ったと言ってもいけない。”

迷った末に青年の口をついて出た言葉は、

「“悪魔のマスカレード”」

「ほほぅ!成る程。確かに技巧は悪魔的に凝らされ、音は繊細にして大胆、旋律は優美ながらも力強くどこか破壊的だ。

 全く相応しいタイトルだね」

苦し紛れに青年がでっち上げた曲名に、団長は感心したように何度も頷いた。

青年は契約の条項を思い返して、曲名を偽ってはいけないとは書いてなかったから言い訳はできると自分に言い聞かせた。

けれど、更に団長は続ける。

「ふむ、折角ならあんな素晴らしい曲を書く作曲家もうちのものにしたいな。

 君、知っているのかね?その“悪魔のマスカレード”の作者を」

これもまた、青年には答えられないことだ。

知らないと一言言えばいい。けれどそれでは、隠れた名曲を青年一人が知っている理由にはならない。

それはまるで、地獄への誘い水であったかのようだ。

「もしかして、君が作ったのかな?」

団長の問いに、青年は一瞬呆然と見返した。

期待に満ちた視線が注がれているのを知ると、青年の口から自然に、こんな言葉が出て来た。

「そうです、私が書きました」

青年の中の、長年満たされなかった虚栄心が、良心を飲みこんだ瞬間だった。



その夕方、青年のもとを孤児が訪れる。

青年はもう街角で演奏してはいなかった。

安いけれどしっかりした造りの宿に部屋を借り、そこで練習していた。

孤児が青年の居所を知れたのは、当の宿の主人が、期待の若手演奏家が自分の宿に泊まっていると自慢したせいだ。

孤児を招き入れてすぐ、青年は訪ねた。

「悪魔は?」

「来てないよ。僕だけ。

 ……お兄さん、約束破ったね?」

ずばり問うた孤児に、青年は苦笑する。

「耳が早いなぁ。どこから聞いたの?」

「みんな噂してるもの。今年の優勝はきっとお兄さんだって」

青年は笑った。

「そうさ。俺が優勝する。それで一流の演奏家になるんだ」

「悪魔の曲で?」

「そう。何が悪い?あれは俺が命と引き換えに買ったものだ。どう使おうと自由だろ」

孤児は悲しげに顔を歪めた。

「約束したのに……。きっとジョンは怒るよ。約束を破るのは、本当にすごく怒るんだ。

 謝ろうよ!それで、曲なんか返しちゃおうよ!悪魔との契約なんていいことないよ!」

「嫌だ!」

青年は力一杯否定した。

「三年も待ったんだ!ようやく大会に出られて、優勝できそうなんだ!

 絶対に諦めない、絶対に……!」

『無駄だよ坊や』

冷たい声音が遮った。

戸口に、悪魔が立っていた。

『人間が、一度手に入れたものをそう簡単に手放すわけないだろう』

青年は、少し部屋の奥に後退った。

悪魔は、一歩部屋に踏み込む。

『契約を違えたな』

悪魔を前にして、青年は鼻で笑い開き直った。

「それが?確か契約じゃあ、曲を取り上げるとは書いてなかったね。

 二倍の寿命を払うとだけ。演奏したのはほんの五回だ。二倍でもたったの五年。

 惜しくはないさ!世界中の舞台で弾ける演奏家になれるんだ!」

ほぅ、と溜息をついて、悪魔は呆れたような視線を青年に向けた。

『報いを受けさせてやるよ。勿論契約に則って』

「どうぞ。できるものなら」

青年の承諾に頷いて、悪魔は孤児を振り返った。

『帰るぞ坊や』

孤児は戸惑って見上げる。

「でも……」

『帰るんだ』

悪魔は譲らなかった。

孤児は肩を落として部屋を出た。

その後に続きながら、去り際に悪魔が一言。

『明日の演奏会、楽しみにしているぞ』



音楽ホールには、大勢の客が詰め掛けた。

若手演奏家の集うこのコンサートは、トリルでも注目される大きな演奏会だ。

悪魔はどこからともなくその観覧チケットを二枚手に入れて来て、今孤児と一緒に一階席のど真ん中に座っていた。

奏者と曲目は一覧が作成されて、観客全てに渡されている。

それを見るより先に、孤児は青年の出番が一番最後であることを、周りの席の噂で知った。

『取りを務めるとは、大したもんだ』

悪魔の皮肉を、孤児は聞かなかった振りをする。

舞台の隅から名と曲名が呼ばれ、一人目の奏者が現れた。

銀色の長い横笛を持っていたが、孤児には何という楽器かなど分からない。

悪魔は大抵暇そうに、時々真剣に、順番に出てくる演奏家達の腕前を眺めていた。

やはり孤児には今ひとつ違いが分からないが、きっと上手いか下手かの違いなのだろう。

昨日から悪魔の機嫌が良くないので、話しかけるのも控えていた。

だから、彼が出てくるまでは孤児も悪魔も、他の客同様ずっと静寂を保つことに協力していた。

それを破ったのは、はっと悪魔が身を起こしたからだ。

「どうしたの?」

孤児が問う。

舞台の上に立つのは、バイオリンを構えた少年。二十歳にあと三、四つばかり足りないだろう年頃だ。

順序は既に最後から二番目。件の青年の一つ前になる。

少年が客席に向かって礼をする。

司会が、曲名を口にした。

“悪魔のマスカレード”。

孤児は驚いた。

『面白い』

その言葉通り、悪魔は薄ら笑った。

音が伸びる。流れる。天井まで届いて満ちる。

それは確かに、あの酒場で一度だけ聞いた、悪魔の曲だった。

完璧に再現していると言っていいだろう。それどころか、青年の奏でる音より澄んで響きは深く、力強さを損なわぬままに優雅な旋律だけを強調している。

『素晴らしい』

ただ一言、悪魔は褒めた。

「どういうこと?ジョン、あの人にも教えたの?」

『いいや。どこかで聞いて覚えたんだろう。それにしても……素晴らしい弾き手だ』

呟いて、小さな囁き声で歌い始める。孤児にだけ聞こえる程の。

悪魔の言語か、まるで異国の言葉のように意味は分からなかったけれど、その歌声は透き通るようなテナーだった。

少年の音色と悪魔の歌声。

孤児にはその両方が、此の世のものならぬ玄妙な調べに聞こえた。

ぽつりと悪魔が零す。

『ああいうのを“神に祝福された”って言うんだ』


驚いたのは悪魔と孤児だけではない。

舞台袖で出番を待っていた青年は、大切なバイオリンを取り落としそうになる程、驚いた。

悪魔の曲には譜面が無い。勿論青年も書き起こしてない。

だから、少年が弾けるはずは無い。そう思った。

呆然と立ち尽くしている間に、少年は演奏を終えてしまった。

客席からの拍手が、随分遠くから響いているように聞こえる。

舞台袖に引っ込んできた少年が、青年を見て足を止めた。

軽く頭を下げる少年の元に歩み寄って、問う。

「どこで、どこであの曲を知ったんだ?誰に教わった?!」

少年は、青年の気も知らず、こう答えた。

「あなたの演奏です。一度、広場で弾かれていたでしょう?

 あれを聞いて僕は感動したんです。

 必死で思い出して練習しました。元の曲とは違ってたかも知れませんけど、どうしてもあなたみたいに弾きたくて。

 すみませんでした!でも、ありがとうございます」

それだけ言うと、少年は足早に舞台を下りて行った。

残された青年は、今から舞台に上がらなくてはならない。

けれど、分かってしまっていた。

きっと自分の演奏は、今し方の少年には到底敵わない、と。

力無く膝を突いて、――それから後のことは覚えていない……。



演奏会が終わった時、外はもう夕暮れだった。

家並みの向こうに沈んだ日が投げかける赤い色が、空を炎のように覆っていた。

街は影絵のように真っ黒で、細い通りを宿に向かって歩く二人の影法師も、黒くて細長い。

その後ろから、息せき切った駆け足が追いかけて来た。

青年だった。

「ま、待て!」

青年は悪魔を呼び止めた。

『何だ?』

悪魔は足を止めたが、振り向かずに答える。

孤児だけが、青年を振り返った。

ホールからずっと走って来たのだろう。

息切れした青年は、背を向けた悪魔に食って掛かる。

「お前、教えたな?!俺以外の奴に、俺に売った曲を!」

ふん、と悪魔は鼻で笑った。

『知らんね。私も驚いたくらいだ』

しかし、青年は信じない。

「嘘をつけ!そうでなくて、どうしてあいつが知ってる!」

『知らんと言った』

冷たい声音で告げる。

その肩を、青年の手が掴んだ。

『全く滑稽だねぇ』

力任せに向き直させる青年に、悪魔が投げつけた言葉。

「何?」

『滑稽だと言ったんだよ、お前が。

 本当に天から与えられた才能を持つ奴は、悪魔に頼る必要も無いんだなぁ。

 どうせなら、私もあいつに売ればよかった』

悪魔が青年をせせら笑う。

青年は悪魔の襟首を掴み上げた。

「お前が!協力したに決まっているんだ!俺への腹いせに!」

『腹いせ?笑わせるなよ人間風情が。それだけの価値が貴様にあるとでも?』

片手で、悪魔は青年の手を払い落とした。

『それとも報いのことかい?それならとっくに済ませてあるさ。

 もうお前にも私にも、お互いに用なんか何一つないんだよ』

それを証明するつもりだったのか、悪魔は青年に一通の封筒を投げ渡す。

『お前に三日後届くはずの手紙だ。それが報いだよ』

宛名は青年の名になっている。消印は青年の故郷。そして差出人は、青年の婚約者の母だった。

青年は封筒を開けて手紙を読んだ。

手紙にはこう書かれていた。

昨晩、青年の婚約者が突然倒れ、そのまま息を引き取った、と。

青年は愕然とした。

「どうして……どうして……!!」

叫んだ。

「どうして!どうしてあいつが死ぬんだ!

 この嘘つきめ!俺から寿命を取るはずだっただろう!」

『嘘つきだと!?』

悪魔は青年を睨み返した。

『ちゃんと貴様から取るつもりだったさ。お前が契約を違えなかったらな』

懐から取り出した契約書を、青年の目の前に突きつける。

『よく見ろ。契約書には誰から寿命を貰うなんて書いてない。だから、寿命を奪う相手は私の自由だ!

 お前の恋人から、契約違反の分も含めて全部で五年、きっちり頂いたよ。

 それで死のうが死ぬまいが、私の知ったことか!』

悪魔の所業。そうとしか言い様が無い。

悪魔の言い分は、契約を違えた報い。

しかし、孤児はそう取らなかった。

「酷いよジョン!お兄さんの恋人は関係ないじゃないか!」

『黙れオーウェン!!』

横から口を挟んだ孤児に、悪魔は怒鳴った。

『こいつは契約した!契約をしたんだ!私と契約すると、自分で選んだのだ!

 そして破った!お前が口を出すことじゃない!』

悪魔の契約に、青年の恋人は関係無い。だが、関係なくも無い。青年にとって最愛であるというだけで。

『嘘つきは酷い目に会うんだ。こいつはドロード伯爵じゃなかった。それだけさ』

その言葉はずしりと重い。

悪魔は、本当に、嘘つきが嫌いだ。

「ジョンは知ってたんだ、お兄さんよりずっと上手い人かいるって。

 最初から全部知ってたんだ!お兄さんが一番になれないことも、お兄さんが約束を破ることも……!」

『それは違う。最初から果たされない契約など、悪魔は結ばない』

きっぱり悪魔は否定する。

「じゃあどうして!どうしてお兄さんじゃない人から命を取ったりするのさ?!」

『その方が辛いからさ。苦しくて絶望するからさ』

悪魔は言い放った。

孤児が悪魔を睨み上げる目には、怒りと悲しみが浮かんでいる。

契約を軽んずる者には、より重い報いを。それが悪魔の理。

悪魔は孤児の心理を理解しないし、孤児は悪魔の論理を理解しない。

まるで言い聞かせるように、悪魔が言う。

『ミヒャエル・ヴァイセはどうして死んだか知ってるか?

 あいつは“魔王の哀歌”を自分が作ったと言ったから、悪魔に食われたのさ。

 こいつは私の歌を自分のだと言ったけど、私は食わないでやったぞ。優しいだろう?』

「ジョンの馬鹿!ジョンなんか大嫌いだ!!」

孤児は悪魔を怒鳴った。全力で拒絶した。

けれど悪魔は涼しい顔で、首を傾げて見せるだけ。

『そんなの、今に始まったことじゃないだろう?それより何でお前が怒るんだ?』

それには答えず、孤児は涙を零しながら、悪魔に背を向けた。

そのまま歩き出し、悪魔を置いて、孤児は一人で宿に帰った。

追おうかどうしようか迷う悪魔に、呆然としていた青年が問う。

「本当に、……本当に死んだのか……アリスは?」

がっくりと肩を落とし、悪魔に掴みかかった時の覇気も見る影もなく、寧ろ憔悴の色が濃く窺えた。

『あぁ』

悪魔は短く返事する。

そうか、とだけ溜息のように零して、青年は魂を失ったようによろめく足取りで去って行った。

最後に、葬儀は明日だと書いてあると、国に帰らねば、と手紙を握り締めながら。

二人の人間が、それぞれ全く逆の夕闇の向こうに消えた後で、悪魔はぼやく。

『……訳の分からん奴等だなぁ』



悪魔が宿に戻ると、孤児は布団の中に頭まですっぽりと隠れてしまっていた。

悪魔が声を掛けても、返事も出てくる気配も無い。

ギッとスプリングを鳴らして、悪魔はベッドに腰掛けた。

暗い部屋の中、窓から差し込む月の光に、悪魔の影が浮かぶ。

悪魔は囁くように歌い出す。あの曲を。

今度は悪魔の言葉ではなく、人間の言葉で。

『“宵の帳も落ちて 闇に訪う 星の瞬く声 雲の歌

  天蓋の下も 森に眠る子らも 絶えぬ温もりを夢に見て

  夜露の棺に身を預け 安らぎの夢路まで 至ろう

  永遠の 真夜中に 真夜中に”』

歌い終わった時、布団の中からくぐもった声で、孤児が問うた。

「その歌……本当は何て名前なの?」

『“真夜中の子守唄”』

悪魔は答えた。

『……っていうんだよ』

やっぱりそれっきり、孤児は返事をしなかった。





十、   幕  ――




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