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8.波、ベタ凪なれど(艦長の心は)荒天なり

飯島が酒により轟沈してから2日後、「くらま」を旗艦とする哨戒隊群は物資の積み込みを終了し、佐世保にて合流した第2哨戒隊および第3哨戒隊とともに佐世保を出港した。

「くらま」艦橋

「艦長、針路、陣形は出港前の打ち合わせ通り、変更はなし。」

司令席の安達が羅針盤の前で操艦していた飯島に伝えた。

「了解、当初の予定に基づき本艦はこれより隊列の所定の位置に付きます。」

「うむ、僚艦に当初予定に基づいて陣形組めと伝え。」

「了解。」

飯島は短く答え、側にいた伝令に指示を与えていた。

間も無く「くらま」の後方にいた艦艇は一度「くらま」を追い越してそれぞれが指定された位置へと陣取り、少し手惑いながら輪形陣を組んだ。

「やはり、もたつくのは当然か。」

艦橋から見える範囲の動きを見て安達が呟いた。

「ええ、レーダーを見る限り後方の「いぬわし」達も動きが悪いようです。」

それとなくレーダーを確認していた飯島が呟きに答えた。

「まー、しかたないだろう。これからの哨戒活動で追々慣れていってくれればいいさ。さてと・・・、安達だ、石倉頼む。」

安達は司令席の艦内電話でCICの石倉首席幕僚を呼び出し今後の確認を始めた。

飯島も艦長席で読み掛けの報告書に目を通すことにした。

「では、排水量の増加によって操艦がし辛いとゆうことは無いのですね?」

「ええ、確かに以前と全く同じようにはいきませんが慣れてしまえば問題は無いですね、ただ見張りの際に補給設備が邪魔で後方の見張りがし辛いと報告があり防空指揮所でも見張りを行ってます。」

「なるほど」

操艦を当直の気象士に委ねて坂田航海長が野村の相手をしていた。

(かなり詳しく聞いてるな、それに何度も資料を見ているが別になんともなさそうだ船に強い血筋と言っていたがこれなら心配はいらないだろう。)

背後のやり取りを聞きながら飯島はお客さんに抱いていた心配事の1つは無くなって安心した。その時、艦長席の電話が鳴った。

「はい、飯島。」

「艦長、中村です。」

CICで指揮を取っていた副長であった。

「『おうみ』より入電、『ワレ、那覇出港セリ。合流予定海域に向かう』」

「了解、『おうみ』に返信。了解、貴艦の安全な航海を祈る。以上」

「返信内容、「了解、貴艦の安全な航海を祈る」」

副長は一度そこで区切った。

「それともう一つ司令と艦長宛に追伸です。「民間船舶2つ、西に向かう」」

「了解。」

この追伸で飯島は面倒事の種から芽が出てしまったと思った。

(話は前もって聞いてたとはいえ勘弁してくれよ、えらいベタ凪だとしたら嵐の前のナントカかよ)

飯島は艦長席から立ち上がり喫煙所へ向かった。

喫煙所で飯島を見かけた宮野機関長はその日の夕食後飯島が早々と艦長室に戻るのを見て喫煙所での飯島の姿をこう語っていた。

「艦長が喫煙者なのは知っていたが、俺が知ってるのは1度に多くて2本程度だがあの時は吸い切っては火を点け、吸い切っては火を点けの繰り返しだった。あっとゆう間に1箱吸い切って2箱目に手を付け様としたので声を掛けようとしたらやめたけど、あの顔は尋常じゃなかった。」






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