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6.司令とお客さんと新米と

六月始め「くらま」と哨戒隊は所定の訓練を消化しつつ佐世保へと向かっていた。

佐世保基地内哨戒隊群司令公室 

「予定どうりだな、飯島の奴も最初は『護衛艦上がりなんて無理言わないで下さい』と言っていたが遅れなくやっているじゃないの」

幕僚からの報告を受け哨戒隊群司令の安達秀和海将補は口元に笑みを浮かべていた。

「司令、かなりうれしそうに見えますが、お知り合いなのですか?」

今回の哨戒活動に同行するユナイテッド造船の野村亮が安達の顔を見てたずねた。

「え?ああ、奴とは江田島時代に指導役と候補生の関係でね、その後も2、3回同じ艦に勤務することもありまして、それより野村さんお茶がもう無いようですがお代わりは?」

「あ、すいません。いただきます。」

野村の答えに安達は内線でお茶を頼んだ。

「しかし、彼方も大変ですな、社命とはいえ長期間のフネ暮らしとは初めてでしょう?酔い止めのお薬忘れてませんよね?」

「いえ、ご心配なく実は私の家は代々船乗りの家系で船には免疫があるんです。最も私は乗るより造るほうに興味を持って今の会社に入ったのですが船に強いとゆうことで今回乗艦させて頂くことになりまして改めまして今回はよろしくお願いします。」

野村は頭を下げた。

「いえいえ、こちらこそ」

安達は頭を下げ返した。その時扉がノックされた。

「藤代3尉入ります。」

「入れ」

真新しい制服と階級章の3尉がトレーにお茶を載せて入ってきた。

「司令、お茶をお持ちしました。」

「うん、ご苦労様。藤代、悪いなお茶汲みまがいの事させちゃって。」

安達が申し訳なさそうに言った。

「いえ、書類のミスで配属先が決まらなくてどうすればいいのか解らない所を雑用でよければ司令部付きにならないかとお声を掛けていただいて自分は助かりました。声を掛けていただけなければ実務面で同期に遅れを取る所でしたから。」

「あ、そう。そう言われると助かる。本人の前で言うのもなんだが書類仕事が捗ってコッチも助かってるんだ。ありがとな。」

「いえ、そんな失礼しました。」

藤代がトレーを脇に持って退室した。

「彼ですか、司令自ら人事に掛け合ったとゆうのは」

退室を待って野村が安達に聞いた。

「ええ、江田島の副校長は自分の同期でしてソイツから面白いのがいるが、書類のミスで宙に浮いた状態になったと聞いてウチに引っ張る事にしたんです。実際話してみると一見奇想天外な策にしか見えないがよく見りゃキッチリ筋が通った策もできますしオーソドックスも問題なくできるし、書類も新米にしてはちゃんとしてますからいい拾い物したと思ってます。」

「ほう、期待の新人ですか。」

野村は安達の評価を短くまとめてみた。

「まあ、そんなトコです。ただ無くて七癖ってやつでして、あいつの場合自分の能力を過小評価する所が有りまして、過信や自惚れが強いよりかは遥かにマシですがもうちょい自分の才覚を自覚してくれればもっと伸び代があると私は踏んでるんですがね、まあこれからどうなるかを見てみますよ。」

安達はこれまたうれしそうな顔で言った。

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