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55.ありふれた日常を願って

この話に伴い『10.証言』は一部修正しました

 哨戒隊群が海上警備行動で出動した尖閣諸島の事件から1ヶ月後、世間ではこの事件を生き残った船の名前から『さんふらわ号事件』と名付け1週間程ニュース番組のメインとして扱われた後は、この件での進展があれば適時、国民に知らせれるようになった。一番の扱いを受けたのは藤原総理の尖閣諸島領有権を明確にする為に国際司法裁判所への提訴の発表であろう。この件に対して中国は当初、この提訴を突っぱねる事にして日本がこの事件で最初に手を出したと主張するつもりであったが日本側が政府ではなくマスコミがこの事件の一部始終を報道していた事によりこの主張には国際世論は嘲笑うものであり、中国の海洋進出に脅かされていた東南アジア諸国がいの一番に日本の行動を支持する事で国際世論は(危機管理能力の低い事で有名な国にしては珍しく先手を打った)日本の行動を評価する事になり、日本支持の方向に傾き中国は日本の望むべき戦いの土俵へ引きずり出される流れとなった。

 日本国内も左翼団体が声を上げる前に経団連の会長の『中国の今後の行動次第では我々日本企業は中国市場からの完全撤退、東南アジア市場への生産拠点移動もしくは国内への回帰へシフトチェンジの時を迎えるかも知れない分岐点の時ではないのか』と声明を出し、その際に名を連ねた企業の中には左翼団体に資金提供をしていた大企業の名前もあり、左翼団体はごくごく小規模の団体が国会議事堂を取り囲むだけであり、その目の前に現れたのは『さんふらわ』と『あまみ丸』に乗っていた団体の生き残りの面々であり彼らは『殴られない事が分かっているならいくらでも殴ってくる奴はいる』、『9条は攻めて来る側からすれば全く関係無い事』等と取材していたマスコミの前で大々的に述べ左翼団体を公然と批判しその姿をよりセンセーショナルな物としてマスコミが取り上げた為に左翼団体の活動は国民から認知されなかった。

 国会では哨戒隊群司令安達秀和が証人喚問に呼ばれ左翼系政党から行動に対して違法性を浮かび上がらせようとしていくつも質問を浴びせたが(『10.証言』参考)、安達も佐世保帰投前からこの事は予測できていたので書類整理の合間に戦闘記録を確認して予想される質問を推測して答えを考えていたのでこれにそつなく対応して相手の望む答えを一切出さなかった。

 哨戒隊群はその最中、安達不在の間司令代行を命じられた川崎司令の指揮の下損傷艦艇や当初の予定通りに定期点検に入る艦艇のドック入りの為に入渠先の確認に追われながらこの出動に対する報告書作成もこなすという無茶を総員でこなす事になった。ドック自体は造船業界の好意と公共事業受注拡大の思惑があり奇跡的に全艦入渠に漕ぎ着けるという奇跡で一安心であったが書類の方は創隊以来初の海戦という事であり古参幹部なども書き方が解らない書類もありその都度海幕に問い合わせるなど苦戦した。また、始めて実戦を経験した戦闘艦艇という事でメーカーや技研本部からデータを取りたいと申し入れがありドックは技研の技官、メーカーの技師、ドック作業員が入り混じるカオス状態で出渠予定が伸びる可能性を心配される一コマがあったがそれでも当初の予定通りになんとか出渠となった。


2019年9月 長崎県佐世保市

「艦長、タグボート安全圏に退避完了」

出渠作業の指揮を取っていた中村が最後の確認を終えて報告した。飯島も自身の目と見張り員の報告でそれを確認して艦長席へ腰を下ろした。

「よろしい。本艦は僚艦との合流のためこれより湾外に向かう。両舷前進微速」

「両舷前進微速」

この声で『くらま』は動き出した。

今度は安達からは頭の痛くなる話を聞かされる事はなく穏やかな気持ちで飯島は必要な命令を出し続けた。

(軍人が一番平和を望むってのはあながち間違いではない、むしろ正しい。あんな経験した奴は特にそうだ。穏やかで何もないありふれた日常ってのは恐ろしく尊い)

飯島の頭の中ではこの考えが浮かんできたがそれを一旦しまって仕事に集中した。


 足掛け2年以上かけましたがこの作品はこれにて終わりになります。

初めて作ったこの話を完結できてやり遂げた感情と終わっちまったかって感情が入り乱れて複雑な心境でこの部分を書かせていただきます

このような駄文をお気に入り登録していただいた皆様には感謝してもしきれません

 最後に皆様、ありがとうございました


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