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52.喧騒と安堵

サブタイは文中から付けてみました

 『くらま』CIC

「艦長、初芝整備長からです」

通信士が飯島に報告した。

「わかった。飯島だ」

「艦長、この場で出来る応急修理は完了しました。現在、機材と人員の収容作業を開始します」

「了解。『はやぶさ』は先程聞いた通りの状態でいいのだな?」

「はい、それ以上はドックの仕事になります」

「そうか、では収容作業急げ。手空きの者もそちらに回す。収容完了次第動くからその様に」

「はい」

飯島は受話器を下ろし今聞いた事を手短に安達に報告した。安達は先程から2群司令と通信でやり取りしていたがそれを聞きながら手元のメモ用紙に『わかった。各艦に「命令あり次第動けるように準備しろ」と伝えろ『さんふらわ』にも随伴役経由で教えておけ』と書いて飯島に渡した。それを見た飯島は岡村に通信内容を伝え、中村に手空きを集めて収容作業の応援に向かわせるように命じた。


『くらま』補給作業施設付近

「おい、電子部品上げるぞ気を付けろ」

「第3班は、点呼完了次第、第2(クレーン)で帰るぞ。急げ」

「ボルト、数あってるか?もう一度確認しろ」

「そっちは固定したか?海に落としても泳いで取りに行くわけにはいかんのだからしっかりやっとけ」

「3番のレンチ?2班が借りてったはずだろ聞いてこい」

「クレーン来たぞ。次に乗せるやつは――」

甲板は普段より喧騒に包まれ人と荷物で溢れ返りそうになりながらも1秒でも早くこの場を去りたいという全員の思いで素早く作業は進んでいた。


『さんふらわ』デッキ

「おい、なんかやけに慌ただしくなってないか」

名護原はカメラで『くらま』の様子を撮影しようとして『くらま』の喧騒に気付いた。

「え、……あ、ほんとだ。なにやってんだ?」

玉城は双眼鏡でそれを確認しながら仲田にカメラにそれを撮るように指示を出した。

「なにかクレーンで人と荷物を上げてるみたいだな」

「ああ、確かにそんな風に見えるな」

「D!!自衛隊のフネからなにか信号を出してます」

トイレに行っていた与座が玉城の元に走ってきた。

「で、なんて言ってんだ?」

「すいません。分かりません」

「馬鹿!!それならブリッジに行って聞いてこい。早く!!」

「はい!!」

玉城に小突かれた与座は来た道を戻って行った。

「こりゃもしかして」

(ようやく帰れるか)と言おうとしたが言うと帰れなくなれそうなので止めた。その言葉を飲み込むように玉城は煙草を抜き取り火を付けた。隣にいた名護原もそれに倣ってデッキの脇に置いてあった灰皿を自分達の傍らに持って来て煙草に火を付けた。


『くらま』CIC

「収容作業完了。人員は艦内の配置に戻りました」

「よろしい。司令、本艦は移動準備完了」

「よし、全艦に通達。旗艦が動き次第直ちに先程達した通りの配置につけ。飯島」

「は、航海長。航路、先程の通り変更なし、第1戦速」

「航路変更なし、第1戦速」

『くらま』は沖縄本島へ向けて舳先を向けた。

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