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46.後始末を始める為に

『千鳥湖』

「『温州』より秘匿回線」

通信室からの艦内電話は張り詰めた感覚がひしひしと感じられた。

「誰宛だ?」

楊艦長が確認を行った。

「艦隊司令及び艦隊政治委員宛てです」

楊は洸と甘を見た。彼らが黙って頷いたのを見て楊は司令席に視線を向けながら「繋げ」とだけ言った。

「『温州』艦長代理、劉です」

「洸だ。劉代理、現状を伝えろ」

洸の隣で耳を近づけている甘が聞いているのを確認しながら洸は言った。

「はい、現在―――」

劉は今現在の『温州』の現状を手短にかつ正確に伝えよた。

「ふむ、だいたいそちらの状況は分かった。劉代理、貴艦には命令が伝わっていないようなので私から命令する。『温州』は現時点をもって日本艦隊に対する攻撃を自衛戦闘を除き中止し、本艦と共に『寧波』乗員の救助活動を行え」

「了解」

「それと」

ここで話を区切り洸は甘の方に顔を向けた。

「構わん。君の口から伝えてくれ」

甘はただそれだけ言った。

「これは艦隊司令及び艦隊政治委員からの正式な命令だ。貴艦政治委員夏周衛は現時点をもってその権限を剥奪する。『温州』は治療の後に速やかに身柄を拘束し自室に監禁せよ」

「了解。質問がありますがよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「本艦水雷長宣恵信についてはどうすればよいでしょうか?」

その質問には洸から受話器を受け取った甘が答えた。

「甘だ。夏については先程の洸司令の命令よりも前に奴の権限を剥奪している事になっている。従って奴は無い筈の権限が有るかのように振る舞って貴艦で狼藉を働き、水雷長はその行為を止めさせる為に手を出したと解釈できるが?」

「まぁ、あの状況なら水雷長が止めなければ彼は撃っていたでしょうが……」

「よろしい、正式な事は帰還後の調査が終わらなければ言えんがまず大丈夫だろう。水雷長にはとりあえず自室で反省でもさせておけ」

甘は受話器を洸へ返した。洸は改めて『温州』の被害状況を確認して受話器を置いた。甘はそれを見て洸へ話し掛けた。

「洸司令、次は日本だがここまでやっておいて向こうは納得すると思うか?」

「彼らの今までのやり方を見ればこちらが嘘を言ってないと理解すれば納得はしなくても馬鹿な真似はしないと考えます。ただ」

「ただ?」

「こちらが馬鹿な真似をしてしまえば彼らも腹を括るとも考えています」

「違いない」

洸の言葉にこう答え彼は苦笑いをした。


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