41.救助活動の最中で
時間は少し遡って
『おおわし』
「『温州』からのレーダー波、消失」
電測員が声を上げた。
『温州』が『くらま』に気を取られている内に徐々に近付いていた為に『おおわし』は『はやぶさ』への接近に成功し負傷者の収容をしていた。
「……『くらま』がやったのでしょうか?」
電測員の報告を聞いて寺原が川崎に言った。
「可能性はあるだろうな。19式は上と技研から散々、眉唾な話聞かされていたからな。飯島艦長はともかく安達司令は試せるチャンスがあるなら喜んで試すと思うぞ」
「はぁ……」
「上の言ってる事が本当なら最低限の攻撃で現在の艦艇なら致命的被害を与えて無力化できるからな。我々の場合、例えそれが国際的に見たら極めて妥当で文句の言われる事はない条件下で沈めても色々とうるさい方々がいるからねぇ」
「それじゃあ、もし万が一、上の言ってる事が過大評価で最悪の事態になったら……」
「そん時はそん時、上の誇大広告がどこからともかく世間様の目に――ってヤツさ」
「…………」
寺原が黙り込んだ時、甲板に出ていた幹部の一人から連絡が入った。
「副長、『はやぶさ』の乗員の移乗と被害集計が終わりました」
「ああ、報告を」
「総員20名内、艇長含む5名重傷、9名軽傷」
「そうか、重傷者の様子はどうだ?」
「艇長はかなり深刻です。ウチと『はやぶさ』の衛生が見ていますが止血で手一杯です。他にも応急手当が必要な者もいますが手が足りません」
「わかった。応援を回す」
「了解」
「寺原、『くらま』に通信を」
やり取りを聞いていた川崎が言った。
「司令、一体何を?」
「『くらま』は本艦の救助活動の支援の為にヘリが用意されていた筈だ。準備は出来ているか問い合わせるんだ」
「はい。中井(船務長)『くらま』を呼び出してヘリが準備できてるか確認しろ」
船務長に指示を出した寺原が川崎に気になっていた事を確認した。
「司令、『温州』はどうするのですか?今のままではヘリを出した所であの艦に撃墜されます」
「『くまたか』はまだ相手の近くにいるな?」
「はい、先程よりやや距離をとっていますが」
「よろしい、『くまたか』の神崎艇長に繋いでくれ」
それだけ言って川崎は司令席に座って通信が繋がるのを待った。




