38.舞台裏の戦争
注意
この話から2、3話は本編から少しずれる感じになります。この部分を読まなくても本編は読めるように話を作成したいと思いますのであしからず
東京 市ヶ谷 防衛省中央指揮所
「…………」
その部屋にいた面々はスクリーンに映し出されていた『温州』の姿を言葉を発することなく見ていた。
「繰り返します。先程、中国海軍の艦船に対して海上自衛隊の艦船が攻撃しました。今、ご覧になられている映像はその直後に撮影された映像になります。現在、この件に関しまして政府は『事実関係の調査中でありコメントは差し控えさせていただきたい。調査が完了次第会見を開く』と林官房長官の談話以降は、防衛省に設けられました対策本部からは一切のコメントは――――」
「もうよかろう」
上座に座る藤原総理が言った。それを合図に尖閣周辺の地図にモニターが切り替わった。
「海幕長、先程の件は?」
藤原は幕僚の報告を聞いていた海幕長に質問した。
「はい、応援の2群は予定通り集合予定海域で第2護衛隊、第6護衛隊は合流完了。現在、中継地点の那覇に全速で急行中」
「……偶然とはいえ本州と沖縄の中間で訓練していたのは僥倖だな」
報告を聞いていた山本防衛相が呟いた。
「そうか、わかった。次、空幕長」
「はい、現在那覇の南西航空混成団は交代で哨戒部隊を発進させています。また、第404から派遣されていた給油機は補給中、築城からの応援に対する作業に備えています」
「とりあえず、順調という事でいいのか?」
藤原はなんとか頭の中を整理して確認した。
「はい」
「よろしい、そのまま続ける様に」
「はい」
海幕長と空幕長は幕僚と書類との格闘に戻っていった。
「高野君、赤坂(アメリカ大使館)はなんて言ってきた?」
藤原は今度は次官と電話で話していた外相がちょうど電話を切ったのを見て声を掛けた。
「この手の話の常套句のです。『今回の一件は安保条約に該当するか本国で確認中なり。よって在日米軍は動けない』との事です。ワシントンの堀部大使からも同様の報告がありました」
「……ベタすぎて何も言えんな。それでもう1件はなんて言ってる?」
「ええと、『本件についてはあくまで日中間の問題であり我が国は貴国の行動を批判する理由は一切存在せず』です。これは赤坂、ワシントン双方から非公式な大統領声明として伝えてきました」
「賛同は期待してないが批判はしないって事か。上出来といえば上出来だな」
藤原がこう言った所で指揮所に藤原の秘書官が入室してきた。秘書官は一目散に藤原に近付いていった。
「総理、岩崎幹事長が」
彼はそれだけを藤原に耳打ちした。
「わかった。山本しばらく頼むぞ」
藤原は立ち上がり自分用の休憩室として用意されていた個室のオフィスへと向かっていった。




