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37.代償(ツケ)の取立て

 VLSから放たれたシースパローは狙いを外す事なく目標に進んでいった。

「シースパロー、インターセプト5秒前……マークインターセプト!!」

「目標の反応消失、撃墜した模様」

この報告にCICにいた全員は胸を撫で下ろしたがすぐさま自分の仕事を再開した。

「対空見張り、第2波警戒」

「19式、諸元入力完了。いつでもどうぞ」

「射管、目標は変わらず準備できてるな?」

「はい」

そう答えた射撃管制員のモニターには『江凱型』の全体像が映し出されある一点が赤くマーキングされていた。

「艦長」

一通り必要な報告を受けて中村が飯島を見た。

「19式準備完了。よろしいのですね?」

その問いに答える前に飯島は安達に確認を兼ねて目を向けた。

「現時刻を持って、『くらま』は正当防衛の範疇での攻撃を許可する」

「了解。19式(ハープーン)攻撃始め」

「了解。VLS1番用意……」

初めての実戦の空気を実感し額に汗を滲ませた砲術長はコンソールに載せていた手の汗に気付きすぐさま作業着のズボンで拭って手を戻した。

「発射!!」

手を元に戻すのと命令はほぼ同時だった。


『温州』

「目標は対空ミサイルで迎撃」

「迎撃だぁ?生意気な副長、もう一発だ」

「はい。も――」

副長の答えを遮ってレーダー員が叫んだ。

「目標から小型目標確認、ミ、ミサイルです」

「「な…………」」

正直、想定の内ではあった副長も政治委員と同じく絶句した。副長は政治委員を見たが彼は自分よりこの事態を理解できていないというより受け入れられないのか明らかに思考停止の状態であった。

「対空戦闘だ、紅旗(対空ミサイル)いそ――」

止む終えず彼は自分の判断で迎撃命令を出そうとしたがそれに反応して政治委員がそれを遮る様にいきなり天井めがけて拳銃を撃った。弾は配管に当たり跳弾となって水雷長の腕に当たった。

「誰に断って命令出してるんだ。僕を通さないで勝手な事をするな!!」

椅子から転げ落ちた水雷長を無視して政治委員は副長に拳銃を突き付けながら怒鳴った。

「は、申し訳ありません」(クソが、もう少し固まってろ)

「迎撃は構わないが、副長、艦長はいないのだからこの船の責任者は僕だ!!そこを忘れるな!!」

「はい、迎撃行動に入ります。後、水雷長は治療させたいので衛生を呼ぶか治療室に本人を向かわせたいのですが」

「まあ、よかろう。水雷長はココで治療しろ」

そう言われ水雷長はCICにある救急箱を取ろうとしたが近くにいた乗員がそれを取り海図台をテーブルにして応急処置を始めた。

この遣り取りの為にCICの人間は動くに動けずミサイルは主砲の迎撃エリアを突破して4基のAK630機関砲での迎撃がようやく始まったがミサイルは艦首側から『温州』に近寄り艦首の旗竿を掠める形でホップアップして『くらま』の思惑通りの場所に命中した。


『さんふらわ』

「おい!!玉ちゃん!!」

名護原がカメラシャッターを切りながら玉城を呼んだ。

「何?どうしたの?」

「ソッチのカメラでも望遠で見てみてよ」

名護原が指差した方向に荒木の代わりにカメラを扱っていた仲田に指差した方向にカメラを向けた。

「…………おいマジか?」

カメラに繋げたモニターに『温州』が映し出され、今まさに倒壊して海に落下する『温州』のマストも映し出されていた。

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