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31.事の危険性

『千鳥湖』

「夏政治委員、説明してもらおうか」

やっと繋がった通信に甘は相手の応答を待たずに問い質した。

「艦隊政治委員、何をそんなにお怒りになってるのでしょうか?」

相手は甘の怒気を気にかけずにそう言った。

「ふざけるな!!しかるべき命令もなしに日本の艦艇に攻撃した事を私は聞いているのだ。射撃レーダーの照射を命じはしたが誰も撃てとは言っておらん」

「はぁ、ですが我々はあの忌々しい小日本から不愉快極まりないことをされたのですぞ、我々には攻撃する権利が生じているはずです。あの状況ではいちいちしかるべき指示を仰ぐ暇もなくこちらで臨機応変に対応させていただきました」

「……。とりあえずソコは帰ってから言い分は聞いてやる、とりあえず艦長を出せ」

「艦長は党に対する反逆行為で処分しました。現在副長に指揮権は移譲させましたが」

「おい!!どういうことだ?反逆とはなんだ?どういうことだ?」

「言った通りですが?なにか問題でも」

「貴様、トチ狂ったか?いいか命令だ。現時点で貴様の政治委員の権限を取り上げる。帰るまで部屋で謹慎をしていろ」

ここまで言ったがトチ狂ったか?の辺りで夏は通信を切った。甘と洸の傍らで自分の仕事をしていた通信士が二人宛の通信を受信し彼らに声を掛けたのはこの時であった。

「…………。司令、とりあずこの命令に従って益陽、福州は帰投させろ」

「了解です。本艦と残りは如何します?」

「本艦と寧波で臨検隊の準備を。それと寧波の荘政治委員を再度呼び出してくれ」

「寧波には温州に対してスピーカーで呼び掛けを行なわせますか?今の様子では通信には応じる可能性は低いでしょうから」

「ああ、頼む。自分達の味方を撃つのは忍びない」

「!?政治委員それは?」

「今の通信を聞く限りではアイツはまともではない。司令、万が一には備えるべきではないのか?」

「解りました。念の為に確認しますがそれは艦隊政治委員としての正式な命令でしょうか?」

「ああ、そうだ。書類は荘君への通信が済み次第、すぐに作ろう。とりあえず、誰でもいいから私の取り巻きを一人連れてきてくれ下書きくらいならすぐにできるだろうからな」

後半の言葉を聞き洸は舌を巻いた。目の前の男は自分らが思っていたよりは周りを見ていたようだと気付いたのだから。

(こりゃ、只のボンクラよりは遥かにマシだったようだな楊艦長にはとりあえずこの事は伝えとくか)

洸司令は艦橋へ向かう為に通信室を後にしたのだった。


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