29.救助命令
「どうなっている?早くあの馬鹿共に通信を繋げろ」
艦隊政治委員の甘(かん)は『温州』達の発砲を見て洸司令にこう言った。
「現在、呼びかけていますが『温州』からは応答がありません、『寧波』は応答がありましたので直ちに攻撃中止命令を出しました」
「そうか、『寧波』の荘政治委員を通信に出せ、『温州』の夏政治委員宛に私の名前を使って再度通信を内容は『とりあえずとっとと通信に出ろ』だけでいい、出るまで続けろ」
「了解」
洸司令は楊艦長に通信の内容を伝えた。
『くらま』CIC
「『はやぶさ』の状況はどうなっている?まだ繋がらないのか?」
飯島が岡村船務長に確認した。
「何回も呼び出していますが反応がありません。通信機器に異常があるのではないでしょうか?」
「近くに行って直接確かめるしかないだろう。飯島、『はやぶさ』に一番近いのは?」
岡村の答えを聞いていた安達が飯島に尋ねた。
「司令、危険です。相手はまだ、撃ってくるかもしれないのに」
「しかし、『はやぶさ』に確認取らないわけにはイカンだろう。今、石倉に確認したが先程から向こうの艦隊旗艦の通信量が跳ね上がったそうだ、この攻撃自体は向こうにとっても想定外。今は躍起になって攻撃を止めさせている最中だろうからこちらが被害を受けた僚艦の救助活動を行うってハッキリ言えば向こうも手を出してこんさ、むしろ余計な心配しなくて済むんだから感謝されるだろうよ」
「はぁ……、とりあえず現在『はやぶさ』の一番近くにいるのは『おおわし』です」
「よろしい。石倉、警告文中断してこちらはこれより救助活動を行うって向こうに伝えろ。それと川崎司令に『はやぶさ』に接近して発光信号で被害状況問い合せて必要なら怪我人の受け入れ行うようにって伝えてくれ、最悪の場合は総員離艦を許可するって付け加えて」
「了解」
すぐさま石倉は文章の作成に取り掛かった。
「さて、飯島」
「はい」
「『くらま』は現時点を持ってLRADを停止、救助活動の支援に当たれ」
「了解。副長、内火艇用意。飛行長、ヘリの用意」
「それと」
安達は付け加えるように言った。
「『くらま』は対水上に備え、場合によっては主砲の出番があるかもしれないから」




