22.数分の差
「中国海軍艦隊指揮官に告げる。貴艦隊が武力行使を行ったのは我が日本国の領海内である。貴艦隊には出入国管理法違反並び銃刀法違反等が適用される速やかに機関を停止し、指揮官は出頭せよ」
石倉の日本語での呼び掛けの後、中国語、英語での呼びかけが行われたが中国艦隊からの返答はなかった。
「・・・・・・静か過ぎませんか?」
物言わぬ中国艦隊を眺めるのに飽きを感じ始めた飯島が安達に声を掛けた。
「まぁ、さっきの事があるから全艦に各自の受け持ちの艦の監視を厳にするように伝え。それと石倉。後、五分経っても無反応の場合はアレを」
そこまで言って安達は手元のクリップボードに目を向け自衛艦隊司令部宛の電文の文書を書き始めた。
「さんふらわ」
「はい、ええ、そうです。今、自衛隊から2度目の警告が送られました。・・・・・・はい、今回は発砲はないようです」
玉城は衛星携帯で局への定期報告をするためデッキに出ていた。
他のスタッフも船内に戻る理由がなかった為、デッキにいた。
「今からですか?はい、スタッフはここにいますから準備自体はすぐに始められます。はい」
ここで会話を中断しスタッフの方に声を掛けた。
「おい、今の画が欲しいって言ってるがすぐに撮れるか?」
「あと十分ほどならすぐに始められますが、それ以上はテープチェンジが必要です」
荒木が答えた。
「音声は問題ないよ」
太田はマイクをチェックしながら言った。
「中継機材、何時でもいけます。」
与座達が太田達を手伝いながら答えた。
「まあ、五分も撮れれば大丈夫だと思うけど荒木、テープチェンジやっといて終わったら始めるから」
玉城の言葉を聞き、荒木は仲田に持たせていたカメラケースからテープを出すように指示して自分はカメラから今までのテープを取り出していた。
このたった数分の出来事が後に大きな意味を持つことになってしまった。
数分後
「テープ交換完了。カメラ正常に作動っと。D、いつでもいいですよ」
荒木が玉城に言った。
「よし、とりあえず最初はあの「くらま」ってフネだな、あとはソコから中国の船に向けながら――」
そう言いながら肩で電話を抑えながら「今から送ります」局に伝えていた。
その後の指示は「くらま」のスピーカーからの声にかき消された。
「中国艦隊指揮官に告げる。先ほどの警告に従い速やかにこちらの指示に従え。警告に従わず我々への武力行使を継続するなら誠に遺憾ながら我々は自衛権を行使してこの海域の日本人の生命を守る為の行動を起こす」
この警告を一語一句漏らすことなく放映し、この後に起こることも結果的にほぼノーカットで放送できたのだから




