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19.突き返し

「くらま」は通信量から割り出した、旗艦と思しき「福池」型補給艦に向かっていた。

「艦長、目標のマストに少将旗、確認。」

見張り員からの報告を受け、自ら確認していた坂田航海長がCICの飯島に伝えた。

「うむ、わかった、先程の予定通り目標の側面へ」

飯島はそう命じた後、安達に視線を向けた。

「ええ、・・・はい、了解。11管区は・・・もうすぐ?はい。こちらは・・・あ、「おうみ」から?ええ」

海保との仲介役の自衛艦隊司令部との打ち合わせ中のようだ。

「はい、お願いします。・・・どうだった?」

受話器を置くなり安達が尋ねてた。

「はい、あの艦で間違いないようです。」

「あ、そう。」

そう答えて飯島にバインダーに挟んでいた紙を一枚抜き取り飯島に渡した。

「これだけどさっきの通り中国語訳、頼む。」

「了解。」

そう答えた時、石倉から全艦所定位置に着いたと報告があった。

「じゃ、始めますか。飯島艦長、準備してくれ。」


「さんふらわ」デッキ

「おい、一隻がタンカーもどきに近づいてるぞ」

周囲を撮影していた名護原が「くらま」の行動にいち早く気付いた。

「ホントだ、一体何するんだ?」

先程、自衛隊到着の知らせを電話で報告していた玉城が名護原の声に反応して言った。

「え~と、ありゃ多分「くらま」って艦だな」

その隣で双眼鏡で艦を見ていた船長が言った。

「わかるんですか?」

玉城が尋ねた。

「ああ、何度か佐世保に行った時に何度か見たことがある。外見は少し違うが間違いないはずだ。」

「へー」

そんなやり取りをしている間に「くらま」はタンカーもどきに向かい相手に距離をとって並走するような形になるように舳先を向けた。その時、「くらま」の探照灯がタンカーもどきに向けられた。

「なんだ?」

その言葉を発した瞬間、ふと思い出し指示を出していた。

「荒木、アレにカメラ向けろ、太田さん集音。与座、仲田、映像の送信準備しとけ。」

そう言って携帯を使おうとした時、「くらま」のスピーカーから声が聞こえた。

「こちらは、日本国海上自衛隊哨戒隊群旗艦「くらま」。中国人民海軍艦隊指揮官に告げる。貴艦隊は我が日本国の領海を侵犯し武力行使を行なった。直ちにこちらの指示に従い武装解除し我々と行動せよ。こちらの指示に従わない場合は我々は武器使用の権限が日本政府より与えられている。」

同様のメッセージが英語と中国語で繰り返されていた。

「おいおい、こりゃ強気に出たな」

音声を拾っていた太田が若干苦笑いをしながらつぶやいていた。

「もしもし、チーフですか?はい、今――」

玉城は慌てて局に電話でこの事を伝えていた。


「くらま」CIC

「さて、どう来る」

安達は司令席でスピーカーからの警告文の読み上げを聞きながら呟いた。

「けど司令、あれでよかったのですか?特に最後の部分?」

傍らの藤代が不安げな表情で安達に問い掛けた。

「まあ、問題が有るといえば有るけどね。只、正当防衛、緊急避難にハッキリと該当した物なら使ってもなんとかなるからね、それにあれでOK出したのはこのオレだよ。藤代、お前さんが気に病むことは何一つないんだから。」

安達は藤城の問いかけにそう答えた。

「航海長より艦長、左舷に発砲炎らしきもの見ゆ」

(回答が来た。)

安達と飯島は報告を聞いた時の感想はそれだけだった。「『おおたか』より通信「われ、攻撃受ける。」」


この時、テレビ日本では深夜ドラマが放送されていたが直ちにとりあえず速報として画面上部に字幕でこう流れていた。

『尖閣諸島の中国人民海軍、海上自衛隊艦艇に攻撃。詳細が入り次第再度お知らせします。』

 

 



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