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2.歯車が狂った

本来なら2年前に引退している筈のこの古参艦がドックにいるのかと言えば、3年前の師走の時期がそもそものキッカケであった。この時、順調に公試を消化していた24DDH「せっつ」が試験航海中に浸水が発生、排水設備が不調により被害に拡大し、クルーの尽力により数ノット程度の自力航行が可能な所まで復旧できたところで慎重にドックに向かうことになった。入渠後に行われた事故調査により一部の鋼材に深刻な強度不足が発覚あり、これにより亀裂が生じ浸水が引き起こされ、排水設備も防衛省内の書類に記載されているものより性能が悪い粗悪品で有り自身の性能の限界を超えた水量に耐えられず停止した物であると結論付けられた、この調査により関係企業と数人の防衛省の背広組が逮捕されたがここでは割愛させていただく。

「せっつ」はこれにより船体全体を調査され船体自体は問題の鋼材の部分を補強すれば問題なしと判断され排水設備も本来装備されていた物に交換となった。

しかし、これにより就役までのスケジュールは大幅に遅れることになりそれまでの繋ぎとして「くらま」は艦齢延長作業が行われる事になり本来の引退が伸びてしまったのである。

その間に尖閣方面の情勢はキナ臭くなっていったのである。中国がそれまでは漁業監視船が中心で行っていた領海侵犯行為を今度は海軍艦艇中心で始めたのである。これでは海保では明らかに最悪の事態の際に対処不能でありされど護衛隊群を張り付かせるのも周辺諸国に対する備えとして如何な物かと言う意見もあり妥協案としてミサイル艇隊を派遣してはどうかと意見があったがミサイル艇は地方隊の指揮下であり指揮命令系統の問題があり、3隊6隻しかないため、1隻ごとの乗員の負担が大きく、そもそも沿岸哨戒を前提にしているため航続距離の問題もありとてもではないが使えないのではと反対意見もあり、一度は立ち消えかけたがもとより哨戒艦艇の指揮系統の一元化を考えていた海幕の偉いさんの耳に入り洋上哨戒網の梃入れのためにミサイル艇は哨戒隊群の指揮下に編入し、それにともない大型哨戒艦の建造と母艦となる支援艦艇の配備を主張したのである。これには「せっつ」の件で3、4年分の臨時予算をかなり使った為、海幕と財務省が難色を示した。なんとか大型哨戒艦の建造予算は取れたが母艦は金が掛かりすぎると言われ、それなら既存艦の改造で調達するのならどうかと言い、それなら新造よりはマシかと判断され、ではどれを使うのか?という話になったところ、延命治療により戦闘艦では無理だが支援艦艇業務なら後数年は使えるだろうと判断された「くらま」に白羽の矢が立ったのである。




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