17.アプローチ
「レーダー探知、方位330度距離3000」
電測員の報告を聞き安達は石倉に指示を出した。
「石倉、見つけた。2哨戒(第2哨戒隊)、3哨戒(第3哨戒隊)に通達。行動計画に基づいて行動せよ。」
「了解」
石倉は隊内通信を始めた。
「群司令部より2哨戒川崎司令並びに、3哨戒波川司令に達する。目標を探知した。行動計画に基づき所定の行動を開始せよ。」
この指令を聞き両哨戒隊は増速し、それぞれの配置に向かった。
「よし、コッチはいいな。飯島、民間船の方はどうだ?」
「ああ、わかった。引き続き監視を。司令、艦橋からの報告では一隻は若干の傾斜が見られ、灯りなども確認できないそうです。」
艦内電話の受話器を手にしたまま飯島は安達の方に向き直った。
「もう一隻は?」
「そちらはこの距離で確認できる限りは傾斜は確認できず、火災などもないようです。ただ通信は2隻ともこちらの呼びかけには反応はありません。」
「この距離でもか、見た目よりかなり深刻みたいだな。飯島、「くらま」以下本隊は中国海軍包囲網に1000まで近づく、警戒を厳となせ。」
「はい」
「石倉、本隊の各艦艇に」
「了解」
飯島と石倉はそれぞれの仕事に入った。
「藤代」
安達は傍らに立つ藤代に声をかけた。
「さっきのやつは通信室に送った?」
「はい、けれどいいのでしょうか?あんな内容で」
「大丈夫だと思うよ、法で規定されているのを言い方悪くしただけだから」
「はあ」
「まあ、送ったんならソコは気にすんのはやめようや、野村さんは?」
「先程、居住区に戻られてました。戻られる前に飯島艦長から渡された鉄帽と救命胴衣をつけています。」
「それならいい」
それからいくつかのやり取りをしていた。
そうしている間にも各艦艇は指示されていたポイントについていった。
「さんふらわ」デッキ
「おい、なんかさっきより近づいていないか?」
名護原がカメラのバッテリー交換を手伝っていた玉城に声を掛けた。
「え、マジ?」
「見てみろよ」
一番近くにいた駆逐艦を指差した。
「ああ、確かにさっきより形がわかりやすくなってる気がするな」
「けど近づいてなにする気だろ?」
「俺たち、拿捕して連れてく気なんじゃ・・・」
横で玉城達の会話を聞いていた荒木が呟いた。
「縁起でもない事言わないで下さいよ」
とっさに玉城が言い返した。
「じゃそれ以外の理由、思いつくか?」
「・・・・」
正直思いつかなかった。
「救助はまだなのかよ」
「これじゃ来ても俺たち連れてかれた後じゃないのか?」
思わすそんな言葉が出た。
その時、駆逐艦が一気に舵を切り「さんふらわ」から離れ、味方の元に向かっていった。
「なんだ?」
この言葉が出た瞬間、中国艦隊は一斉に光に照らされた。
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