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1−1廊下にて
地方政令指定都市でも外れの方の高校に通っている四柱天斗は3階廊下を歩いていた。放課後、夕日差し込み茜色に染まる空間。この時間が一番好きだった。いつもの廊下と違い幻想的で、日常から少し外れた感じがこの上なく心地よく感じられるのだ。
幸せに酔いしれながら、一人歩いている。
最後の角を曲がり、三歩踏み出したところで誰かに呼ばれたような気がした。右を向き、左を向き遠くに目をこらすがそれらしい人はいない。
「こっち、こっち」
さっきよりも近い。
振り返って壁に体を付けて顔をひょこっと出して先ほどまで歩いてきた廊下をのぞく。
あ、いた。
出てきた頭に気づいたのか、こちらに向かって手をふりふりしている。全く愉快な人だ。
そんなにがんばらなくても気づいてますよ、先輩。