4章・町へ③
その反応を見れば、ザックの言葉の真偽は明らかだ。
紫苑は感心して声を上げた。
「へぇ~凄いなぁ……僕には料理なんてできないよ。誰かに教わったの?」
リスラスは紫苑を上目遣いで一瞬見上げると、再び地面に視線を落とした。
「------はい、昔……」
まだ緊張が解けないのか、つっかえつっかえ話すリスラスを見て、紫苑はアローディスの様子を窺った。
また昨日のようにイライラしているのではないかと思案しての事だった。
しかしアローディスはイライラする素振りは全く見せず、木のスプーンで上品にシチューを口に運んでいた。
その様子に安心しつつ、紫苑もシチューを一口飲んだ。
「おっ、おいしい!」
口に入れた瞬間に感じる、濃いミルクのコク。
具材は、人参、ジャガイモ、トウモロコシ。
シンプルで、ぱっと見ただけではありきたりなシチューだが、水っぽすぎず、濃すぎず、ほどよい喉ごしが癖になる味だ。
「おお、こりゃ絶品だ!」
「さすがリスラスだね」
ザックとルナセルの素直な褒め言葉に、リスラスは更に頬を赤らめたが、その口元は微笑んでいた。
ただ一人、何も言わないアローディスだが、その手が比較的早いスピードで口と器を往復している事から、味の良し悪しは伝わってくる。
「喜んで頂けて……よかった、です」
シチューのように深い笑顔を見せたリスラスと、少しずつ距離が近くなっていっている気がした紫苑は、リスラスに色んな事を質問した。
持っているアビリティ、好きな事、嫌いな事、その他にも色々------。
最初は戸惑いがちだったリスラスも、大分慣れてきたのか、だんだん一つの質問に対する答えが長くなっていった。
そして朝食が終わる頃、紫苑とリスラスはすっかり打ち解けていたのだった。