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残業は死ぬまで続く  作者: アル治


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3/6

第3話 降りていくもの

2話まで読んでいただきありがとうございます。よろしくお願い致します。

夜。

オフィス。

静まり返っている。

残っているのは、彼女ひとり。

「……」

キーボードを打つ音だけが響く。

カタ…カタ…

ふと、手が止まる。

違和感。

視線を落とす。

何もない。

「……気にしすぎね」

再び作業。

その足元。

コロ…

「っ!?」

椅子。

「……なんで、ここに」

さっきまで無かった。

確実に。

1歩下がる。

椅子は動かない。

沈黙。

「……ほんとに、やだ」

振り向こうとした、その瞬間——

ガンッ!!

「きゃああああ!!」

足に直撃。

ゴキッ

崩れる。

「いっ……痛い……!」

這おうとする。

椅子が近づく。

「来ないで……!」

ガッ!!

腕。

ゴキッ

「やめてぇぇ!!」

動けない。

椅子が止まる。

そして——

ゆっくりと、体を持ち上げる。

「やだ……やだ……!」

無理やり座らされる。

足はだらり。

腕も使えない。

椅子が後ろへ傾く。

ギィィ…

「やめて……」

ガンッ!!

勢いよく前へ。

机に叩きつけられる。

その反動で——

壁へ。

ドンッ!!

ゴキッ

もう片方の足。

さらに反対側へ。

ゴキッ

もう片方の腕。

完全に固定される。

椅子が動き出す。

廊下。

ズル…コロ…ズル…

エレベーター前。

ボタンに、うっすら赤い跡。

止まる。

椅子がゆっくりと後ろに倒れる。

「……いや……」

バンッ!!

前へ戻る。

顔がボタンに叩きつけられる。

ピンポーン

血が付く。

ドアが開く。

中へ。

椅子ごと入る。

無音。

下降。

…ウィィン…

鏡に映る。

自分の顔。

血。

涙。

そして背後に——

“誰もいない”

はずなのに

椅子が、わずかに動く。

カタ…カタカタ…

彼女の視線が揺れる。

「……誰か……」

返事はない。

1F到着。

ドアが開く。

ロビー。

無人。

椅子が動く。

外へ。

夜の空気。

冷たい風。

階段の入口。

止まる。

一瞬だけ。

静止。

そして——

カタカタカタカタ…

回る。

喜んでいるように。

「やめ……」

ドンッ!!

落下。

ゴロゴロゴロ!!

音が響く。

静寂。

■翌朝

「また事故!?」

「階段から転落って…」

ざわつくオフィス。

「昨日のやつといい…多くね?」

「偶然だろ」

「でもさ——」

誰も“椅子”とは言わない。

だが。

エレベーターのボタン。

赤い跡。

清掃員

「……これ、ケチャップじゃねぇな」

拭く。

落ちない。

3話読んでいただきありがとうございます。

ちょっとギャグ少なめですが、嫌いじゃないと思いたいです、よろしくお願い致します。

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