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フォノン 〜そこにある振動で身近な量子〜

作者: ばーでーん




管楽器の金属のひとつの原子が震える

隣の原子にその震えが伝わる

伝わる規則が波になる 音の素 フォノン


空気の分子が金属に衝突して

楽器の空洞に波が伝わる

空気が濃い所と薄い所が伝わるのが音


少し端折るけど

わたしの鼓膜が震える



鍋底にを炎の赤外線に近づける

鍋底の原子たちの震えが伝わる

伝わる規則が波になる 熱の素 フォノン


空気の分子が金属に衝突して

鍋の中の原子たちに振動が伝わる

温度が高いとこから低いとこに伝わるのが熱


少し端折るけど

料理の具が熱くなる



フォノンは隣り合う原子の振動が

次々と伝わる波だ 波だ 波!

波といえば粒子なのだ!量子なのだ!



電子レンジに2.45GHzの赤外線をたてる

レンジの中の水が赤外線を吸収する

伝わる波が粒子になる 量子の素 フォノン


赤外線のフォトンが水分子のフォノンになる

レンジの中の水たちが強く振動する

温度の高い水から低い具に伝わるエネルギー


少し端折るけど

レンチンは食べごろ





お読みいただきありがとうございます。

注釈: フォノンとは

物質中の原子が隣り合って振動するとき、その振動が波として広がる現象の“量子”です。つまり、「音」や「熱」が、物質内部でどのように伝わっていくかを、量子力学の視点で捉えたときに登場する仮想的な粒子とも言えます。

たとえば、楽器の金属が震え、隣の原子へとその震えが連鎖するとき——その波がフォノン。鍋に熱が伝わるときも、フォノンが働いています。鍋の料理の熱さは人の舌に伝わります。あなたの皮膚はもちろん、あなたの全てはフォノンをもらったりあげたりします。あなたの中にいる量子です。

この詩では、音も熱も、日常の中の物理現象も、すべて原子という小さな粒子たちの振動が大きな波であり小さな粒子であるフォノンが織りなすドラマとして描いています。フォノンは見えません。でも、感じることはできます。耳に届く音の震えや、舌に伝わる温もりの裏には、粒子と波のあいだで揺れる小さな世界があります。

厳密には、フォノンは固体や液体のように、多数の原子振動です。水分子の振動は、分子振動と呼びますが、レンジで温められた多数の水分子が周りにいるこれまた多数の具の分子に振動エネルギーを伝えるので、水分子振動もフォノンと記載しました。

水の分子は特定の周波数2.45GHzのフォトンを一粒吸収して、水分子の振動であるフォノンが一粒発生します。

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― 新着の感想 ―
私たちの身近な物理現象の一つひとつに関係するフォノン。音の素となり、熱の素となり、そして量子の素となって。それが管楽器や鍋底、電子レンジというまた身近なものとともに描かれていて、イメージしながら読ませ…
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