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映画評論  作者: 未世遙輝
40/40

映画 『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』について


千束(軽快・鋭い・けど核心を突く)


「いやー、やっぱり『あの花』って、ズルい作品だよね〜。

めんまってさ、“死んでるのに可愛くて、しかも全員の罪の象徴”なんだよ。

あれはね、いわば“過去から来たスナイパー”みたいなもんよ。」


ひとり(陰キャ・自己否定・でも観察眼は鋭い)


「あの……その、えっと……

私、ぽっぽの気持ち、めっちゃわかります。

『見てただけ』って、たぶん一番キツいんです……。

何もできなかった自分が、今でも頭から離れない、っていう……

……ご、ごめんなさい、語ってすみません……(縮こまる)」


圭介(現実主義・責任感・でもどこか壊れてる)


「誰かが死ぬとさ、みんな“自分のせいかもしれない”って思う。

『あの花』の連中は、結局“死んだ子の罪”を全員が“共有して生きてる”んだよ。

俺も似たような経験がある。人が一人消えると、人生の座標軸がずれる。

そして……ずれたまま、大人になる。」


夏美(現実主義×共感力の高さ×姉御肌)


「つかさ、あの子たち、全員“自分を赦せてない”のよ。

あなるなんて、“好きって言えなかった自分”をずっと引きずってるし。

ゆきあつなんて、めんまになりきろうとするくらいこじれてるし……。

正直、見てらんないわよ。

でも、それがリアルなのよね。高校生の罪悪感って。」


テーマ深掘り①:めんまは「他者」ではなく「記憶の中の自己」


千束:


「めんまって、幽霊だけど、実はあれ、**自分の中にいる“過去の自分”**なんじゃないかな?

“何もできなかったあの日”を、誰もが背負ってる。

でも、その日をもう一度やり直すことはできない。

だからこそ、“見えるのはじんたんだけ”って設定が効いてくる。」


ひとり:


「あ……あの……。

じんたんも、ぽっぽも、きっと、“本当の自分”を見せたくなかっただけなんだと思います。

だって、“泣いてる自分”とか、“嫉妬してた自分”とか、カッコ悪いから……。」


圭介:


「そもそも、“誰かを傷つけたくなくて黙ってる”ってのは、優しさじゃない。

結局、“自分が傷つきたくないだけ”なんだよ。

それを全員、最後にぶちまける。めんまがいなくなる前に。」


夏美:


「そう。だからこそ、あの最終回は泣けるのよ。

“かくれんぼ”って子どもの遊びを、“感情の共有”の儀式に使った演出、秀逸よね。

“みーつけた!”って言う側が、“赦された”って感じるようになってる。」


テーマ深掘り②:「見える/見えない」は、罪と向き合えるかの境界線


千束:


「私さ、あのラストシーンの“手紙の文字が現れる”とこ、あれ完全にスナイプされた気分だった。

“お前たち、ようやく人間らしくなったな”って。

罪は消えないけど、共有した時点で救いになる。」


ひとり:


「うう……でも、共有するの、怖いです。

私もライブで間違えるのとか怖くて、全然言えなくて。

でも……たしかに、誰かと“間違えたこと”を一緒に笑えたら、ちょっと楽になるかも……」


圭介:


「結局、“お前が悪い”って責められるより、“自分が悪かった”って思ってる方がキツいんだよな。

『あの花』は、それを全員にやらせる。

だから視聴者も、自分の過去を掘り起こされる気分になる。」


夏美:


「観客が“思い出す”のよね、自分の中の“めんま”。

忘れたはずの友達のこと、言えなかった一言、逃げた瞬間。

そりゃあ、泣くわよ。」


まとめ|観客はなぜ『あの花』に惹き込まれるのか?


観客の心理作品の演出

自分の中にいる“罪”と向き合いたくない→ 幽霊という存在で“目に見える形”にされる

本当は誰かと「泣きたい」「許されたい」→ “みーつけた”という言葉で“赦し”が発動する

現在の自分が、過去の失敗に縛られている→ 仲間全員が“失敗”を受け入れることで成長する


千束:


「いやー、マジで“感情を狙い撃つ”脚本だったわ。

泣きすぎて、目が赤くなったもん。リコリスじゃなくて“泣きリス”って感じ。」


ひとり:


「(うなずきながら)……私も、自分の“めんま”と、少し話せた気がします……。」


圭介:


「過去は消えない。でも、向き合えば変えられる。

それを“泣きながらでもいいからやれ”って言ってる、そんな作品だったな。」


夏美:


「あの花は、“心の喪失を埋める物語”じゃなくて、“喪失ごと抱きしめる物語”なのよ。

それが分かったとき、人はようやく前に進める。」


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