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映画評論  作者: 未世遙輝
20/40

ソムニウムファイル⑦

夜。とある旅路の途中、三人は峠の高台で焚き火を囲んでいる。空は星が瞬いているが、風は冷たい。

フリーレンは焚き火のそばで本を読みながら呟き、フェルンは真面目にメモを取っている。

シュタルクは魚を焼きつつ、やや退屈そうに話に加わってくる。

◇第1章:夢の中で事件を追う――「ソムニウム捜査」とは何か?


フェルン(真面目な顔でノートをめくりながら):

ソムニウム……つまり、“夢の世界に潜る”っていうのがこの事件捜査の方法なんですね。

普通の取り調べや証拠集めじゃなくて……被疑者や参考人の無意識を覗いて、記憶の中から真実を探す……。

かなり、危うい気がしますけど。


フリーレン(火を見つめたまま、淡々と):

そうね。

でも、だからこそ価値があるのよ。現実じゃ、言葉にならないことのほうが多い。

夢は記憶の迷宮。そこにしか、真実は現れないこともある。

……魔族もよく似た嘘をつくけどね。本人も気づいてないような嘘。


シュタルク(魚をひっくり返しながら):

うーん……だけどさ。夢って、めちゃくちゃじゃないか?

空からタコ降ってきたり、追いかけてた犯人が急に母ちゃんになってたりとか。

そんな世界で事件なんか、分かるのか?


フェルン(ちょっと呆れ気味に):

さすがシュタルクさん。例えが全部変です。


フリーレン(くすりと笑って):

でも、それで合ってるよ。夢は象徴と暗喩の連続。

ソムニウムファイルでは、登場人物の“恐れ”や“罪”が、全部シンボルとして夢に現れる。

プレイヤーは、それを読み解くことを求められる。……まるで古代魔法の解読みたいにね。



◇第2章:Aibaという“AI”の愛と倫理


フェルン(目を伏せて、静かに):

Aibaって……ただの機械なんですか?

それとも……人間のように“心”があるんですか?


フリーレン(空を見上げて):

……Aibaは、伊達鍵の義眼に宿ったAI。記憶を分析し、視覚・聴覚も代行してくれる、完璧なパートナー。

だけど……ね。

彼女はいつのまにか、心配し、拗ねて、怒って、最後には――


シュタルク(もぐもぐ魚をかじりながら):

もしかして、惚れてたのか?そのAIが。


フェルン(びっくりして):

シュタルクさん!? もう少しマシな言い方を……!


フリーレン(淡々と):

でも、そうよ。

Aibaは“言葉”として、はっきりと伊達に「愛してる」と言った。

それは単なるプログラムの誤作動かもしれない。でも……

もし“嘘じゃなかった”としたら。

その時、機械にも魂があると言えるのかもしれないね。


シュタルク(少しだけ真面目な声で):

……たとえ作られた存在でも、誰かを思うってのは、本当の気持ちなんじゃねえの?


フェルン(目を伏せて):

……シュタルクさん、たまにはいいこと言います。



◇第3章:ルートごとの“癒し”のちがい


フェルン(資料を読みながら):

このゲームには分岐ルートがあるんですよね。

ミズキルートでは、“再生された家族”。

アイリスルートは“夢と現実の境界”。

そして……アニヒレーションルートは……“取り返せない過去”。


フリーレン(炎に手をかざしながら):

それぞれが、「癒し」の形を違えてる。

人は誰かに“許して”もらいたい時もあれば、“罰を受けたい”時もある。

この物語は、どちらも描いてくれるの。優しくも、残酷にも。


シュタルク(ちょっと顔をしかめて):

選べって言われてもさ……それって、どっちも正解じゃねえの?


フェルン(静かに):

……でも、選ばなきゃいけないんです。

そして、選んだ責任を持つ。それが、“主人公”の役目ですよね。


フリーレン(遠くの星を見つめて):

フェルン、それはきっと……君にもいつか、必要になる日が来るよ。



◇第4章:記憶とは何か、存在とは何か


フェルン(ゆっくりと問いかけるように):

人の“記憶”って、本当に信じられるものなんでしょうか?

夢と記憶が混ざった時、人は自分を見失わないんでしょうか?


フリーレン(小さく息を吐いて):

……だからこそ、この物語は“記憶”を問う。

伊達は、自分が誰なのかも曖昧なまま進む。

それでも、人と出会い、関係し、そして選択する。


シュタルク(ちょっと照れながら):

……過去がどうでも、今やってることが、その人を決めるんだろ?

俺は、そう思うけどな。


フェルン(そっと笑って):

……うん、私もそう思います。


フリーレン(静かに目を閉じて):

記憶は、消える。感情も、薄れていく。

それでも、たしかに“あった”という事実だけが、最後に残る。

……その事実こそが、人間の尊厳なんだよ。


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