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映画評論  作者: 未世遙輝
14/40

ソムニウムファイル①

場所:深夜のファミレス。雨音が窓を叩く。ドリンクバー前の円卓に5人が集う。


千束(ポテトを頬張りながら)

「さてさてー!今日は例の“ソムニウムファイル”の会!みんなー、目ぇ覚めてる〜?アイボゥ、可愛くない?ああいう義眼AI、うちの職場にもほしー!」


リョウ(目を閉じたまま静かに)

「……AIに魂は宿ると思う?」


ぼっち(ガタッ)

「っっ……!あ、あの、AIに……し、視線……えっと、常に、監視されるとか、む、無理……ですよぉぉ……っ(机の下に顔)」


夏美(笑いながら手元のノートを開き)

「まあまあ、まずは落ち着こうか。

今日のテーマは“義眼型AI・アイボゥ”と伊達との関係性。啓介さん、ちょっと導入お願い。」



◆ テーマ①:Aiba=他者としてのテクノロジー


啓介(低く理知的に)

「Aibaは単なる捜査ツールではない。彼女は“視覚装置”であり、“人格”を持つ。しかも、伊達の義眼の中に常駐して、四六時中彼を“見ている”。」


リョウ(冷たく)

「つまり、最も信頼できる相棒が、同時に最も深く“監視”してくる存在、という構造か。」


ぼっち(震え声)

「え、えっと……“友達”が……常にこっちを見てるって、あ、それって、わ、私、もう、胃がっ……うぷっ……」


千束(ぼっちの背中をポンポンしながら)

「まあまあまあ。私的にはAibaちゃんって、“義体萌え”の正統進化版って感じ!見た目ちっちゃくてキュートだけど、めちゃ強いし有能。最高かよ!」


啓介

「いや、そこが重要でね。

Aibaは“見る”機能を通して、人間の“記憶”や“感情”に接続してくる。

つまり、彼女は“他者性を内面化したテクノロジー”なんだ。」



◆ テーマ②:記憶の外部化=“記録する他者”


夏美うなずきながら

「アイボゥって、伊達の忘れた記憶を補完してるのよね?

記録して、再提示してくる。つまり“あなたは以前こう言ってた”って、外から言ってくる相棒。」


リョウ(冷静に)

「ラカン的に言えば、“他者A”=構造としての観察者。

伊達は、自分の記憶を“自分以外の存在”に預けてしまった。もはや自我が内から出てこない。」


ぼっち(机に突っ伏しながら)

「で、でも、あの、他人に全部覚えられてて、後から“君、そうだったよね”って言われるの……し、死ぬほど恥ずかしい……」


千束(大笑い)

「うん、ぼっちちゃん、それ私でもつらいわー。ログ、削除してぇぇ!!って叫びそう!」



◆ テーマ③:Aibaの“視線”と倫理性


啓介

「重要なのは、Aibaの“見る”は数値処理であり、意味を持たない。

彼女は画像認識・脈拍・行動予測はできても、“情動としての共感”は演算されて出力される。

これはフッサール的な現象学と真逆なんだ。」


リョウ

「彼女の視線は“現象世界に触れない”。観測はしても、体験はしない。」


夏美(静かに)

「でも、伊達はそんなAibaと会話して、笑って、時に怒る。

つまり、感情を向けてる。“人間”として認識してる。」


ぼっち(ボソッと)

「……まるで、う、うちのギターみたい……喋らないけど、私のこと見ててくれる……あっ、い、今の例え、気持ち悪かったですか!? すみませんっっ!!」


千束(目を輝かせながら)

「いやむしろ、最高に“ぼっち節”だった!!好きっ!」

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