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映画評論  作者: 未世遙輝
12/40

映画 グレイテスト・ショーマン①

【場面:深夜の劇場、無人のステージを囲んで5人が余韻に浸る】

◆千束(ステージにぽんっと飛び乗りながら)

「ねぇねぇ、バーナムが最初にジェニー・リンドに会うとこ、覚えてる? もうさ、空気が違ったよね。“この人は、自分が今まで触れられなかった世界の人間だ”っていうバーナムの目、あれ、完全に恋じゃなくて“崇拝”だったよ。」


◆フェルン(背筋を伸ばして、静かに)

「彼女が階段を降りてくる時……背後のクラシックな調度品、控えめな光、群衆の視線。そして彼女の佇まい。完璧な対称性。……まるで“理想”そのもの。バーナムにとって、彼女は“自分が貧しさの中で夢見た文化”の象徴だった。」


◆シュタルク(口を開いたまましばし考え込み)

「……あのさ、俺、ぶっちゃけ息止めてたわ。ジェニーが立ってるだけで、空気変わったんだよ……。優雅っていうより、“選ばれた存在”っていうか……“あ、俺じゃ手が届かねえ”って、ああいうの、あるよな……」


◆フリーレン(どこか懐かしむように)

「理想に触れた時、人は静かになる。……それは、憧れと恐れと、少しの嫉妬が混ざる瞬間。バーナムは、その沈黙の中で“心を奪われた”。……でも同時に、それは“自己を見失う序章”だったのかもしれない。」


◆ひとり(おそるおそる言葉を紡ぐ)

「……それで……“Never Enough”を、歌ったじゃないですか……あの時、わたし、もう、だ、だめでした……声が……声が……“音”じゃなくて、“命”でした……」


◆千束(頷きながら)

「そう、“Never Enough”のシーン、まじで心臓止まるレベル。ドレスも、照明も、あの静けさも。“全世界がこの人を見てる”っていう演出。で、歌い始めたら……もう、“歌じゃない”。“叫び”なの。」


◆フェルン(目を伏せながら)

「リリックの内容がすべて彼女の内面を表してる。“どれだけの光に囲まれても、あなたがいなければ、私は空っぽ”。……あれは、バーナムへの訴えでもあり、自分の孤独の叫びでもある。」


◆シュタルク(涙をこらえて)

「……俺、ほんとに、泣いた。あれ、反則だろ。“成功をつかんだ人間が、まだ“足りない”って言うんだぜ?……それだけ孤独だったってことだよな。」


◆フリーレン(静かに締めるように)

「そう、“Never Enough”は、満たされたはずの存在が、“欠けている”と叫ぶ歌。……それはジェニー自身の“虚無”でもあったし、同時にバーナムの“欲望の限界”を映す鏡だった。……その声は、美しすぎて、残酷だった。」



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