映画 レオン について
【舞台:夜の古びたカフェ。魔族討伐帰りの5人が、薄暗いランプの下で静かに座る。】
◆千束(カウンター席で牛乳を片手に)
「いや〜『レオン』って、ガチで泣ける殺し屋映画って、他にないよね〜。特にさ、観葉植物! あれが最後にマチルダに託されるじゃん? あの瞬間、“あ、彼女の中に彼が生きてる”ってわかるの。あれが本物の“遺志の受け継ぎ”だよね〜。」
◆フェルン(資料ノートを開きつつ、理路整然と)
「観葉植物という“動かない存在”を、レオンは“友達”と呼びました。根を持たず、移動できるように育てていた……これは彼自身のアイデンティティと重なる。根のない殺し屋としての存在。そしてそれを“地面に植える”という選択――これはマチルダが、“自分の居場所を持つ”という決意の象徴です。」
◆ひとり(おそるおそる挙手しながら、声が震える)
「あの、その、えっと……ミルクのシーンが、じ、じつはすごく好きで……。なんていうか、わ、私も家でずっと牛乳飲んでて……うっ、共感っていうか……“孤独な人”のリアルって、そ、そういうとこからも出るんですよ……あの、あはは……(テーブルの下に手を隠す)」
◆シュタルク(背もたれに深く沈んで、ぽつりと)
「レオンって、ぜんぜん喋んないんだよな。でも……その分、マチルダと一緒にいるときの表情とか、動きがすごく“優しい”。俺……ああいう、言葉じゃなくて伝わる関係って、ちょっと……うらやましいっていうか……」
◆フリーレン(炎の揺らめきをじっと見つめながら)
「レオンは“死”を恐れていなかった。でも、マチルダと出会って“遺したいもの”ができた。……それだけで、彼の死は意味を持った。私が魔王を倒した後も、“何かを残す”という感覚があまりよく分からなかった。でも……この映画を観て思った。生きるって、意志を託す旅なんだと。」
◆千束(くるっとひとりの方を見て、にこやかに)
「ねぇねぇ、ひとりちゃん。スタンスフィールドってさ、やばかったよね~? あれ、ぶっちゃけヴィラン史に残るレベルだったんだけど?」
◆ひとり(ぶるぶる震えながら)
「は、はいぃ! わ、私、正直、あの……クラシック音楽流しながら殺人とか……音楽好きとして、こう、あの、ちょっと、怖すぎて、しばらくギター持てませんでした……」
◆フェルン(静かにうなずきながら)
「スタンスフィールドは、いわば“秩序の崩壊”を体現する存在です。警察でありながら麻薬に溺れ、権力を乱用し、私的感情で人を殺す。その“仮面”がクラシックという点に、人間の文化と暴力の混濁が見える。……あれは、“人間であること”の狂気の側面。」
◆シュタルク(少し眉をひそめて)
「俺さ、スタンスフィールドの演技、鳥肌立ったよ……あの、首の動かし方とか、なんかずっと何かに怒ってるみたいで、でも笑ってるし……“人間が壊れるとああなる”っていうのが……リアルすぎて、こえぇ……」
◆フリーレン(少しだけ表情を和らげて)
「狂気は、理屈では防げない。……長く生きると、それが分かる。レオンもまた、狂気と隣り合って生きてきた。でも最後に彼が選んだのは、“誰かを守って死ぬ”という選択だった。……それは、誰よりも“人間的”だった。」