宇宙旅行と、バイオ研究の類似性
恒星間宇宙の旅、
それは数年、数十年、もしくは数百年と続く長い、長い旅路。
そのために乗組員はAIと、それを監視する交代要員で旅を続ける。
そしていま交代の時が来て、コールドスリープから目覚めた要員と引継ぎを済ませて
私は眠りにつくためカプセルに潜り込む。
宇宙空間の平均気温はマイナス270℃。
気圧を考慮しなければ、簡単にコールドスリープに必要な温度に達する。
そして目的地の星に達すると全員が目覚めて、この世の春を迎えるのだ。
バイオ研究に必要なのは、極低温での菌の保存。
必要な量だけ目覚めさせ、適量の利用。そして菌の能力確認。
能力が必要量が確認できれば再度溶媒を与え、冷凍保菌。
なにか変化があれば、増殖させ能力を確認。
場合によっては、保管菌を全量確認したり、状況により培養で増殖させたり、滅菌する。
緊急事態が発生し、乗組員全員が各個室に隔離された。
誰かが病原菌に侵されていたようだ。
全員が検査された結果、数名の感染が確認された。
彼らと彼らの周囲で眠っていた住人はブロックごと分離され、近くの恒星に突入、焼却となった。
これが大多数が感染となると、移民船ごと恒星で死を待つだけだった。
残ったメンバーは、再びコールドスリープで眠りにつくのだった。