2-美月 それはまぎれもなく彼で…
モデルさんか何かと思ったけれど違った。
それは優斗君で。いや、間違いなく優斗君で。でも私の知っている優斗君では無かった。
モデルのようにスレンダーで、黒いズボンがスラッとした長い足を魅了し、白い無地の服の上に羽織った黒いシャツが、大人な感じを漂わす。
さらには、ピアスとネックレスというアクセサリーまでしている。
あの優斗君がだよ⁉︎ (←失礼)
いつもボサボサ頭で、目元までかかっていた長い髪の毛は、綺麗に整えられていて、いつもの四角いメガネはしていない。
そんな彼の姿を見て、なぜか鼓動が早くなるのを感じた。
(………超イケメンじゃないですか!!!!)
と、ふと我に帰り、またまた自分の服装を気にしてしまって確かめる。上半身の服にできた小さなシワを、両手でピンと張る。前髪も、鏡は見なかったけど、それとなく再度微調整。
うん。おかしくないよね。
というか、これから7日間もあるのに。
1日目の服でこんなに悩んでてどうする。
こんな具合に、一旦自分の置かれている状況を整理しつつ、そしてもう一度視線を上げる。
この現実を見て。それでも彼はかっこよく見えてしまって、なんか急に緊張が増してきてしまった。
あーあ。もしかして一目惚れってこんな感じなのかな。
・・・いやいや!惚れてないです!決して!
彼に近付けば近付くほど、何故か彼が優斗君じゃない気がしてきた。だって本当にイメージがいつもと違うから。彼はこれスマホを見ていて、私が来ていることにまだ気付いていないようだ。
だからこそ、隣にまで行って、そこから背の高い彼を覗き込みようにして言った。
「優斗君……ですか…?」
落ち着け。落ち着け。私よ。
まだ7日間のうちの初日だ。
その1日のまだ朝だよ。
この速まる鼓動を落ち着かせよ。。。
・・・1週間も保ちますでしょうか?私の心臓?