5-優斗 (お目覚めですか?姫)
バスがPAに到着した。
相変わらず、彼女は肩に寄りかかったままだが、どんな理由かは知らないが、寝たふりをしているっぽい。
あくまでも、俺はその寝たふりに気づいていないフリをしているのだから、自然な流れで起こさないと。
「バスはこれより10分間の休憩に入ります。10分後には席にご着席下さいますよう、よろしくお願いします。」
よし。これならしっかりとした理由をつけれるので起こしても問題なしだな。
と言うよりかは、この方が俺自信の罪悪感が薄まるからだけどね。
「相田さん、PAに着いたよ。休憩だって。」
と言って彼女の方を見ると、ゆっくりと瞼を開いた。
(((お目覚めですか?姫。)))
思わず、心の中でそう囁く。
そう言ってしまいそうになる程、彼女の寝起きの顔は、お姫様のように美しかった。
「・・・はい。」
――え??
あれ? もしかして声に出てた? あまりにも美しすぎて、自分でも気づかないうちに心の声が漏れていた?
いやまさか…..。
いやでも、今「はい。」って言ったよね…..!?
あまりにも唐突すぎる不思議な出来事に、俺はポカンとなってしまった。なんだか、彼女の顔も心なしか赤くなっている気がする。
だとしたら、、、
マジで心の声が漏れていたのかもしれない。自分でも自覚がないから、なんて彼女に声をかければいいか分からない。
ましてや、彼女に「俺今なんか言った?」なんて聞けるはずがない。だって仮に発言してしまっていたとしたら、あんなクサイ台詞なんだから、それこそ自爆してしまう。
うん。無かった事にしよう。今の一連の流れ。
そう言う事にしておかないと、なんだか気まずくなってしまったこの空気から抜け出せない。
俺はそそくさとトイレに行く事にした。
すると
「あ。私も行くからいいよ・・・。」
と、何故か申し訳無さそうに言って一緒にバスを降りた。
もちろんトイレは男女別なので、結局すぐ離れてしまった。
もともとトイレに行くつもりは無かったけど、ついでに用をたした。その後、飲み物が欲しかったので、自動販売機を物色ながら一人考え事をしていた。
(あの上目遣いはヤバかったなぁ…)
起こした時、まだ彼女は肩に寄り添った状態だったから、自然と俺が見下ろして、彼女は見上げる構図になっていたからだ。
そんでそのあと。
『はい。』って言われた時はビビったな。
思わず驚いて、呆気にとられてたけど、なんで彼女は恥ずかしそうに顔を赤らめていたのだろうか。
思い当たるとすればただ一つ。
やはり俺の心の声が漏れていたことだ。考えるだけでも恐ろしくて、恥ずかしい。
でもあの表情は反則級に可愛かったな。
あんな顔、彼氏でもない男に見せていいのかよ。笑
と思うほどだった。
ちなみに・・・
変な妄想を除いて、お互いの会話部分だけを整理してみると、
優斗「相田さん、PAに着いたよ。」
美月「・・・はい。」
↑なんの問題もないただの質疑応答ですね!笑
互いに変な妄想をしたせいで勝手に気まずい状況になってしまってますね。でもまさか妄想してるセリフの内容まで一緒だったとは!
これは優斗君も美月さんも、絶対に知ることのない裏の話。




