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奇妙な湖
誰も通わぬ湖の。
誰も語らぬ其の話。
其れは奇妙な湖でした。
相当に深いはずなのに、水底の砂の粒の一粒一粒まで、とても良く見えたのです。
水面は深として、小波一つ立たずにありました。
風のない寂かな湖畔で、
時折、青や紫、緑、橙、黄、赤の輝きが、
波のように寄せては返します。
何処かの深い森の中、
垣間見た人は陶然と、其の虹に見入ります。
何時までも何時までも。
其れは本当に奇妙な湖です。
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【蛋白石】