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第00話 骨董屋ライヤンリー

 

 その店を訪れたのはいつ頃だったか――

 商店街の西外れの路地奥には木樹に埋もれた小さな骨董屋があった。


 記憶にあるのは逢魔が時の夕暮れた空。

 幼かった私は祖父に連れられて看板建築の昭和レトロな店を訪れたのだ。


 蜂蜜色の西日のさす店内には所狭しと商品が陳列されていた。和洋中折衷さまざまな骨董品が、さながら玉座に傅いた従僕のごとく狭い店内通路を囲んでいて、店内の最奥には朱柱を門構えとした小部屋があり、そこが店主である皇帝陛下の玉座となっていた。


 骨董屋ライヤンリー。来客用の門鐘の音色を由来にしてつけられた。

 莱阳の中国梨を意味する。その名前に習って玉座の背後にしつらえられた丸窓からは美しい中庭を眺めることができた。狭いながらに水仙が咲いた小池のそばには大ぶりな梨の木が植わっていて、子供時代の私はそれ目的に店を訪れていた。


 これが不思議も不思議。

 ライヤンリーの梨は四季に惑わされることなく収穫できた。

 それはそれは芳しいこの世ならざる白い花を咲かせるので、常連客の間では根の股に月の霊薬でも埋められているのではないかと、常々噂されていたほどである。

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