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落伍者とお姫様 ~異世界の冒険~  作者: 鯉々
第2章:芸術家の街
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第7話:奇術師と魔法使い

 宿に戻ったアタシ達は部屋に入り、休息をとった。

 腹の減ったアタシは部屋の中を適当に見て回った。当たり前かもしれないが、冷蔵庫などは無い。食べられそうな物は見当たらない。

「どうしたんですか?」

「腹減った。何かないかと思ったンだがな」

 アタシが壁にもたれていると、オーレリアが意見を出した。

「キセガワ様。この宿の主人に聞いてみては?」

 そうするかな。もしかしたら、何かくれるかもしれねェし。

「ン。じゃあちょっくら聞いてくるわ」

 アタシは部屋を出て、主人に会いに行った。


 一階にに降りると、主人は掃除をしていた。

「なァ、ちょっといいか?」

「はい。何でしょう?」

「腹減ったんだがよ。この宿は飯出ねェのか?」

「あ、すみません。安宿なもので……」

 なるほど。つまり出ねェ訳か。仕方ねェか……。

「いや気にすんな。悪かったな」

 アタシは聞きたい事を聞き終わり、階段を上っていった。


 部屋に戻ったアタシは食事が出ないという事実を二人に伝えた。

「オイ。飯出ねェってよ」

「そうなのですか? どうしましょうか?」

「私は食べなくても大丈夫ですので、お二人でどこかで食べてこられてはどうですか?」

 何言ってんだこのガキは。

「馬鹿言うんじゃねェよ。お前ェも行くんだよ」

「キセガワ様。私は食事を必要としておりません。ここは経費を少しでも削減するべきです」

 アタシはオーレリアに近付き、頬を摘まむ。

「アホ。必要に決まってんだろ。お前ェも行くぞ。拒否権はねェ」

「ひふひょうははいまへんは、きへがわはまがそうおっひゃるはな」

 ふん。無機質に喋る奴だが、こうして喋らせると面白いな。

 アタシは手を離す。

「よし、レーメイ、オーレリア、行くぞ」

 アタシ達は腹を膨らませるため、外に出る。折角だ。何か美味いもんでも食おう。




 外に出たアタシ達は目ぼしい店を見つけるために、適当にぶらぶらしていた。

 アタシは通りにいたある二人組みに目が留まる。

 一人は背中にマントの様な物を羽織り、胡散臭い雰囲気を醸し出す口髭を生やしている男だ。もう一人は、まだ小学生ほどと思われる少女で、三角帽子を被り、男と同じ様にマントを羽織っている。あれは……マジシャンか?

 そう思いながらアタシが歩いていると、少女から声を掛けられた。

「そこのお三方! ちょっと見ててってください!」

「あ? アタシらか?」

「はい! 今から師匠が凄い魔法をお見せします!」

 少女が紙吹雪を撒き散らすと、隣の男が一歩前に出る。

「さあさあ! 世紀の大魔法使い、真架伏議人マカフシノリヒトによる魔術をとくと御覧あれ!」

 このおっさん……日本人ぽい名前だな。マカイ市長が言っていたニキタマ国の出身か?

 マカフシと名乗った男はアタシ達に様々な魔術を見せてきた。しかし、何と言うか、これを言うのは野暮かもしれないが、これ……マジックじゃないのか?

 アタシは隣の二人を見る。

 レーメイは真剣にマジックを見ている。オーレリアはいつもの様に冷たい目で見ていた。

 すると、レーメイが口を開く。

「あの、失礼ですが……本当に魔法ですか?」

「……そうだよ? 何でそんな事聞くんだい?」

「うーん……私も魔法の心得があるのですが、あなたからは魔力を感じないんです」

 こいつ魔法使えたのか。しかし、魔力か……魔法が使える人間には認識出来るのか?

「私もお嬢様に賛同します。マカフシ様から魔力は感知出来ません」

 しっかしこいつら、空気読めねェなァ……。もうちょっと気ィ使えよ……。

「なな何ですか! 師匠を嘘つき扱いするんですか!!」

 あぁクソ……チビ公が騒ぎ出した……。アタシが何とかしねェとな……。

「あーすまねェ。こいつら猜疑心が強いもんでな。アタシの方から厳しく言っとくから」

「お待ち下さい。キセガワ様」

 オーレリアがアタシを止める。

「……この方から、強い魔力を感じます」

「私も感じるわ」

 何だ? このチビ公が? そんな感じはしないが……。

 すると、少女は急に得意げな顔をした。

「ほう? ミノリの力を見抜くとは、やりますね! まっ、師匠の方が凄いんですけどね!」

 やけに得意げだが、いまいち信じられねェなァ……本当にこんなチビ公が魔法を?

「あ、穂、駄目だよ。無闇に使っちゃ」

「そ、そうでした! 魔法はいざという時だけです!」

 いや矛盾してないか? さっき魔法って言ってマジックやってたじゃねェか……。

 レーメイがミノリと名乗った少女に尋ねる。

「あの、どんな事が出来るんですか? これとか出来ます?」

 そう言うと、レーメイは手の平の上に炎を出現させた。これが魔法か。ホントに、急に炎が出てきたな。

「ふふん! 穂を甘く見ないで欲しいですね! それくらい簡単です!」

 ミノリは何やら呟いて両手を広げると、両手の間に大きな炎が発生した。先程レーメイが見せた魔法と比べると、明らかに火力が違っていた。

 マカフシが慌てる。

「あー! 駄目だって!」

「師匠! ここは見せ付けてあげましょう! 穂達が本物だという事を教えてあげましょうよ!」

「駄目だって!」

 マカフシがミノリを抑えに入る。体格差故にか、ミノリは簡単に抑え付けられた。

「話してください師匠! この人達に見せてあげるのです!」

 何か、面倒な事なってきたな。立ち去った方が良さそうだ。

「悪い! じゃあな! 迷惑掛けてすまん!」

 アタシは二人の腕を掴むと、逃げ出す様にその場を離れた。





 アタシはしばらく離れた所で二人の腕を離した。

「はぁ……はぁ……お前ェらなァ、少しは空気読めっての」

「私は気になった事を聞いただけです」

「私もです」

 はァ……世間知らずと言うか何と言うか……。

「あのなァ? ああいうのは分かってても黙っとくもんだ。いちいち言うんじゃねェ」

 レーメイは納得いっていない様だった。

「そうなのですか……?」

「ああ。分かってても言わない。それが粋ってもんだ」

「イキ?」

 粋って言葉はこの世界では存在しないのか?

「まあ、あれだ。格好悪いって事だ」

 オーレリアが話し始める。

「なるほど。『粋』ですね。記憶しました」

 どうやらオーレリアはこの概念を理解できるみたいだな。

「ほら、いい加減飯食いに行くぞ。さっきから腹と背中がくっ付いちまいそうだ」

 アタシは二人を連れ、食事を取れる場所を探すのを再開した。もう、適当にそこら辺の店に入るか……。

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