表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落伍者とお姫様 ~異世界の冒険~  作者: 鯉々
第5章:レナス城塞攻略戦
20/65

第20話:協力者の下へ

 風呂から上がったアタシ達は自分達の部屋に戻っていた。

 次に行くべきはどこなのだろうか。

「なァ、次はどこ行きゃいいんだろうな?」

 その問いにオーレリアが答える。

「……これは私の意見なのですが、ロードレイクに向かいませんか?」

「それは、どういう所なんだ?」

「はい。ロードレイクはかつて、水の都として栄えておりました。それ故に緑も豊かであり、綺麗な町でした。しかし、ある日を境に変わってしまったのです」

 大方、水源が無くなったとかだろうな。アタシが居た世界でもありえる話だ。

「ある日、ロードレイクへと続く川に城塞が建てられたのです。それが原因で川が塞き止められ、干ばつが発生したのです」

 なるほど。川を塞き止めたか。

 しかし、いまいち分からねェな。

 何でそこに行きたいんだ? そんな場所に『黎明』があるとは思えねェが……。

「なァ、本当にそこ行く必要あるか? アタシにはそんな所に『黎明』があるとは思えねェンだがな」

「キセガワ様。『黎明』は繁栄や創生を司る力を持っています。出来れば疑いたくはありませんが、ロードレイクの皆様が今一番欲している力だと思います」

 繁栄と創生か……まァ確かにそんな状況の人間からすれば、喉から手が出るほど欲しい代物かもしれねェな。

「もし仮にロードレイクの皆様が犯人ではなかったとしても、協力を申し出る事は可能な筈です」

 なかなかよく考えてるじゃねェか。

 確かになるべく早く見つけたいところだしな。

 アタシは立ち上がる。

「キセガワさん? どこ行くんですか?」

「ちょっと婆さんのとこに行ってくる。行き先を伝えとかねェと」

 部屋を出たアタシはヴィアベルの婆さんの所へ歩いていった。



 あの広間に入ると、彼女はまだそこに居た。

 もう夜だから寝ているかと思っていたが、まだ起きていた様だ。

「おや、戻ってたのかい。どうだった?」

「軽くしか探してねェから何とも言えねェが、見つからなかった。ただ、捜索に協力してくれる人間は見つかった。トゥーリバー周辺はアイツに任せてもいいと思う」

「そうかい。それで? 何か用事があるからここに来たんだろう?」

 ヴィアベルの婆さんはニヤリと笑う。

「ああ。ロードレイクとか言う所に行きたいんだがな、頼めるか?」

「ロードレイクに? あそこには港は無いよ」

 そういやそうか。干ばつが起きてる様な所だもんな。海があったら干ばつはありえないか。

「じゃあ近くの町とかでいいからそこで下ろしてくれ。そっから歩いていく」

 アタシがそう言うと、婆さんは人差し指をピンと立て、アタシを制止する。

「まあ待ちなよ。あそこには川がある。下っていった方が早い」

「……いや、塞き止められてるらしい。川を下るのは無理だろ。それに城塞もあるって話だ。下手に近付きゃお縄だぜ?」

 それを聞いて婆さんは笑う。

「それ位は知ってるさ。だからねぇ……壊しゃいいんだよ」

 何を言ってるんだこの婆さんは……壊すだと? アタシも実際にその城塞を見た訳じゃねェから何とも言えねェが、そんな簡単に壊せるもんなのか?

 だが、この婆さんが何の策も無しにそんな事を言うとは思えない。何か策があるのだろう。

「どうするんだ? そんな簡単に壊せないだろ」

「いいや、壊せるさ。あの城塞はね、木材で出来てるんだよ」

 木材だと? それは城塞としてキチッと機能してんのか? 火でも放たれたら終わりだろ。

「あそこは城塞なんてカッコつけた言い方してるが、見張り用なんだよ。川から近付こうとしてる奴らがいたら報告する。それだけのための存在なのさ」

「今の言い方だと、城塞を作った奴らが誰なのか知ってるみたいだな」

「ああ。レナスって言う小さい町さ。あそこのトップは肝の小さい男でね。命令して作らせたのさ」

 なるほど。その肝っ玉の小せェ腰抜けが作らせた結果、その下流にあったロードレイクが被害にあったって訳か。

 まァ助ける義理はねェが、その腰抜けの事はムカつくし、ぶっ壊すか。

「その城塞の目的は分かったがどうやって壊す? 正面から行くのは流石に危険だろ? ここの船じゃ川に入れねェだろうし」

「そこも考えてあるよ。今から協力者達の所に連れてってやる。そこで頼めばいい」

 協力者? 他にもその城塞を壊したいと考えてる奴らがいるんだろうか?

 とりあえず、ここはヴィアベルの婆さんに任せるか。移動はここの奴らに任せてる訳だしな。

「分かった。それまで部屋で休んでるぜ。着いたら言ってくれ」

「ああ。分かったよ。しっかり休んどきな」

 アタシは軽く手を振り、広間から出て行った。



 部屋に戻ったアタシはベッドに腰掛けた。

「おかえりなさい。どうでした?」

「城塞をぶっ壊す事に決まった」

 アタシがそう言うと、オーレリアは少し驚いた様だった。

「……正気ですか? そんな事をすれば、レナスを敵に回す事になりますよ?」

「構わねェよ。腰抜けがテッペンやってる国だ。大した奴らじゃねェよ」

「だからこそなのです。あの国は自国を守るため、兵士達に非常に厳しい訓練をさせてると聞いています。錬度はかなりのものかと」

 何を言ってやがるんだこいつは。アタシを舐めてるのか?

「心配いらねェよ。束になって来ようがねじ伏せてやるさ」

「……トワイライト王国では衛兵の皆様に捕まったではありませんか」

「あれは開けた場所で囲まれたからだ。アタシの得意分野はあらゆる物を武器に使う喧嘩殺法だ。町中での喧嘩の方が得意なんだよ」

 オーレリアは呆れた様子でこちらを見たまま黙り込んだ。

 心配し過ぎだ。それ今はこいつらもいるんだ。頼りになるこいつらがな。

「さっ、もう夜だし寝るぞ。明日には協力者の所に着くかもしれねェンだしよ」

「えっ? 他に協力してくださる方がいるんですか?」

「ああ。どこの誰かは知らねェがな。ほら寝るぞ」

 アタシはベッドに横になり、目を瞑る。

 明日は早いかもしれない。なるべく体力を回復させておかなければ。

「あの……夕食は?」

 レーメイの困った様な声が聞こえてくる。

 別に一日位は食わなくても大丈夫だろ。ここにいる間はいつでも飯が食えるんだし……。

「あの……キセガワさん……夕食……」

 しつこいなこいつ……寝れば気にならないだろ……。

「キセガワさん……」

「だーもーうるせェなっ!! オーレリアと一緒に食いに行けよ! アタシは眠いんだって!」

 レーメイは残念そうな顔をしながら、オーレリアを連れて食事へと向かっていった。

 ったく……お姫様ってのは一人で飯も食えねェのか。一人で行けよ一人で……。

 アタシは再び目を閉じ、眠りへと入っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ