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落伍者とお姫様 ~異世界の冒険~  作者: 鯉々
第4章:川の村
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第18話:休息

 シップジャーニーの巨大船に戻るために、アタシ達は夜道を歩いていた。

 満天の星空が辺りを照らし、明かりが無くてもはっきりと周りが見えていた。

 こんな星空は、アタシが居た世界じゃなかなか見られねェ。特に都会じゃな……。

「綺麗ですね」

「ン……? ああ、まァ、そうだな」

 確かに綺麗なもんだ。こっちの世界じゃ、当たり前の様に見えるんだろうか?

「お前ェは、よく星見たりすんのか?」

「私ですか? なかなか見れませんね。夜は危ないからって外に出してもらえないんですよ」

 そう言うと、レーメイは困った様に笑う。

 まァ、こいつは一国のお姫様だからな。それも当たり前かもしれねェ。

 だが、過保護すぎるのもどうなんだろうなァ……ちょっと位は好きにさせてもいいと思うんだがな。

「そうか。じゃあ今の内にしっかり見とけ」

「はい!」

 そういやァ、オーレリアはどうなんだろうか。こいつも、普段は星とか見れねェンだろうか。

「ガキ。お前ェはどうなんだ?」

「私は昔見た事があります。お嬢様にお仕えする前に居た場所で見ました」

 なるほど。こいつは最初からあの王国に居た訳じゃないんだな。他の所からやってきたか、もしくは派遣されたか。

「そうか。お前ェ、出身はどこなんだ?」

「そういえば、私も知らないわ。どこなの?」

「……申し訳ありません。それは第1級機密情報です。お答えする訳にはいきません」

 何言ってんだよこいつはァ……機密情報? そんな隠すような事かよ? たかが出身地だぞ?

 まァ、本人が言いたくねェって言ってるのを無理に聞き出すのも良くねェな。本人が喋りたくなった時に喋りゃあいい。

「えー! 教えなさいよ!」

「……申し訳ございません。例えお嬢様でも、お教えする訳にはいかないのです」

「オイ。その辺にしとけ。言いたくねェって言ってんだ」

「……はい」

 レーメイは不服そうな顔をする。

 アタシも気にはなるが、多分オーレリアはまだアタシの事を完全には信頼出来てないんだろう。信頼出来ない相手に自分の事を教えるのは嫌なんだろう。

 アタシも……そうだから分かる。


 しばらく歩いていると、巨大船が見えてきた。やっとか……。

 どうやらまだ起きてる人間はいる様で、いくつかの船では明かりが点いている。

 アタシ達は足元に注意しながら足場を渡っていく。

「気を付けろよ。こんな暗い所で落ちたら助けるのも難しいからな」

「は、はい」

「問題ありません。配置は既に記憶しています」

 そう言いながらも、二人はゆっくりゆっくりと歩みを進めていた。

 正直、もう少し足場の幅を大きくして欲しいが、あまり文句を言うのも良くないという考えから言わない様にしていた。

 郷に入っては郷に従えだな。


 何とか船に辿り着いたアタシ達は自分達の部屋に戻り、休息をとる事にした。

 そういやァ、川の辺を歩いたりしたせいか足が汚れてるな。

 考えてみりゃあ、こっちに来てからマトモにシャワーも浴びれてないな。ここにシャワーなんてあるんだろうか?

「なァ、ここってよォ、シャワーとかあんのか?」

「シャワーですか? そういえばどうなんでしょうか?」

 こいつ、今シャワーって言葉に疑問を示さなかったな。ということは、こっちにもシャワーはあるんだな。ちょびっとばかし安心したぜ。

「宜しければ、私が聞きに行って参りましょうか?」

「いや、アタシが行く。お前ェらはここにいろ」

 アタシは部屋を出る。

 とりあえず、近くにいる適当な奴に聞いてみるか。

 お、丁度いいとこにいやがる。

「オイちょっといいか?」

「はい?」

 こいつ知らねェ顔だな。バフラムとの海戦の時にいた様な気もするが。

「ここさ、シャワーとかあるか?」

「ああ、それならこの船に大浴場がありますよ」

 大浴場? 風呂まであんのか。どうやって湯沸かしてんだ?

「そうか。場所教えてくれるか?」

「はい。まずは……」

 アタシは船員から場所を教わった。

 場所を聞く限りだと、この船は思った以上にデカイみてェだな。

「……悪い。助かった。それと、細かい事を聞く様なんだがな」

「はい?」

「その、どうやって湯を沸かしてんだ? 時間も労力も半端じゃねェだろう?」

「ああ、それでしたら……確か、風呂係が毎日沸かしてますよ」

 マジかよ……仕事とはいえ地獄だなオイ……。

 まァいいか。その辺の事に首突っ込むのは良くねェな。

「そ、そうか。分かった。それじゃあな?」

 アタシは二人に大浴場の存在を知らせるため、部屋へと戻っていった。



 部屋に戻ると、二人はベッドに腰掛け、くつろいでいた。

「よォ、戻ったぜ」

「どうでした?」

「大浴場があるんだとよ。アタシはちょっと汚れ落としてェから行くが、お前ェはどうする?」

「私も行きます!」

 どうやらレーメイは付いて来るつもりらしい。

 アタシはオーレリアに尋ねる。

「ガキ。お前ェは来い」

「何故ですか? 私に決定権は無いのですか?」

「ああ。無いな。気付いてねェのかもしれねェけどな、お前ェ、足が汚れてるぞ」

「……おや?」

 やっぱり気付いてなかったか。そんなこったろうと思ったよ。

 アタシはオーレリアの側に近寄り、腕を掴み、無理矢理立ち上がらせる。

「ほら行くぞ。言い訳は無しだ」

「……経験から考察するに、恐らく私に拒否権は無いのでしょうね」

「賢いじゃねェか」

 アタシは二人を連れて大浴場へと向かった。

 さっさと汚れを落としたい。



 教えてもらった通りに行くと、大浴場への扉が見えてきた。

「ここらしいな」

 アタシは扉を開き、中に入る。

 中には男女別に更衣室と思しき場所があり、その奥には恐らく大浴場へと繋がると思しき扉が見える。

 ふと見ると、番台と思われる男が椅子に座り、眠りこけていた。

 無許可で入るのは流石にマズイか。

「なァあんた。オイ。ちょっと!」

「んあ……? はいはい……何ですか?」

「何ですかじゃねェよ。風呂に入りたいんだ」

「あぁ……普通に入ってもらって構いませんよ」

 オイオイ……随分と適当だな……こんなんで大丈夫なのか?

「そうかよ。なら入る前に聞きたいんだが、タオルとかあるか? ちょっと持ってなくてよ」

「それなら、脱衣所に置いてあるやつ使っていいですよ……使い終わったら浴場入り口にある籠に入れておいてください」

 タオル無料か。随分と良識的だな。まァ助かるが。

「分かった。ありがとよ」

「ごゆっくり~……」

 アタシ達は女用の脱衣所へと入り、着替える事にした。

 この服、こっち来てからずっと着てるな。思い入れのある服ではあるが、同じのを着っぱなしてのはキツイな。

 レーメイは何やら落ち着かない様でそわそわしていた。

「オイ。どうしたんだ? さっさと着替えろよ」

「い、いえ……あの……後で行きますんで……先に入ってて下さい……」

 どうしたんだよこいつ。付いて来るって言ったくせによ。何でこっち向かないんだよ。

「オイ。どうしたんだよ。こっち見ろ」

「い、いえいえ! 本当に! 後で行きますからっ!」

 何なんだよこいつは……やっぱりガキってのは何考えてんのか分かんないな。

 仕方ねェ。ここはオーレリアに任せるか。

「オーレリア。悪いが、こいつ頼めるか?」

「はい。お任せ下さい」

「じゃあ先行ってるぞ」

 アタシはレーメイをオーレリアに任せ、タオルを持ち、浴場へと入った。


 浴場は全て木で出来ており、木のいい匂いがしていた。この匂いはヒノキか?

 シャワーと思しき物は長さ30cm程の竹で出来ており、小さな穴がいくつも開いていた。多分ここに湯を入れて浴びるんだろう。

「メンドくせェなァ……」

 思わず本音が出てしまったが、これしか無いならこれでやるしかないか。

 アタシは浴場内に置かれていた桶に風呂の湯を汲み、竹に流し込みながらシャワーを浴びた。

 正直言ってこの体勢はなかなかキツイ。もうちょっとどうにかならないんだろうか。

「ハァ……」

 軽く体を洗った後、風呂に浸かる。

 湯の温度は程よい温度で、快適に過ごせるものになっていた。

 思っていたよりは悪くない。なかなか快適だ。シャワーを覗けばだが。


 しばらく浸かっていると、ようやく二人が入ってきた。

 しかし、何故かオーレリアは服を脱いでおらず、ズボンの裾を捲くっているだけだった。

「オイ。入るなら服脱げよ」

「……どうしてもですか?」

「風呂入ったことねーのか? 服のまま入る馬鹿はいねェぞ。お前ェがその馬鹿の最初になるつもりか?」

「……分かりました」

 そう言うとオーレリアは再び脱衣所へと戻っていった。

 残されたレーメイはタオルで体を隠す様にして、その場で動かなくなっていた。

「何やってんだ? そこにシャワーがある。さっさと体流して入ってこいよ」

「え、ええと……」

 何を気にしてんだこいつは。女同士だろうが。別に見えたところで何とも思わねェよ。

 仕方ねェ。このまま放っておいたら埒が明かねェ……。

 アタシは立ち上がり、レーメイに近寄る。

「え、ちょっ!?」

「何慌ててんだよ。こっち来い。背中流してやる」

 アタシは腕を掴み、シャワーの前へ移動させた。

「動くなよ」

「は……はいっ!」

 訳分かんねェなこいつ。何を緊張してやがる。

 アタシは湯を汲むと竹に注ぎ、レーメイの髪と体を洗った。

 これ以上は触るのは止めた方がいいな。女同士とはいえ、あんましベタベタ触るのは良くないだろうし。

「おし! こんなもんか。ほら、入るぞ」

「は……はい」

 相変わらずレーメイはタオルで体を隠している。

「オイ。湯船にはタオル浸けるなよ? それが風呂でのルールだ」

「え? そ、そうなんですか?」

 知らないのか。こいつの国には湯船に入るという文化が無かったのか? だとしたら知らないのも仕方ないが。

 アタシとレーメイは湯船に浸かり、一息ついた。

 それと同じくしてオーレリアが入ってきた。

 こいつ……レーメイと同じ様にタオル巻いてやがる。そんなに恥ずかしいもんか? 気にするほどのもんでもないと思うが……。

 しかし、やっと全員浴場内に入れたな。

 ハァ……風呂に入るだけでやたらに時間掛かったな……ホント……手間の掛かるガキ共だ……。

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