幸せな夕食
今夜の夕食はカレーだ。玉ねぎと人参、ジャガイモに牛肉を混ぜたどこの家庭でもありふれた味だろう。
食卓について一言頂きます。というと豚のようにカレーを貪りだす。
家族はみんなドン引きしている。
「ねえ凛、もう少しお行儀よく食べれないの?」
母上様がそんな事を言ってらっしゃるけど気にせず貪る。
ちなみに家族は母上様、父君、弟と俺の四人兄弟。
ガツガツムシャムシャ……。
「まあまあ、お母さん凛も育ち盛りなんだからいいじゃないか」
そんな俺を見かねてか父君がフォローに入る。
ちなみに父君はよく俺を庇ってくれる。小さい頃男子と喧嘩をして相手を怪我させてしまった時も最後まで俺を庇ってくれた。だから父君は大好きだ。
逆に母上様は最後まで俺を叱りつけた。きっとバランスが取れた良い家庭なのだと思う。だけど俺自身がいることによって少なからず迷惑をかけている気がする。
「ん、気をつけます。ごめんなさい」
一言だけ謝り、お上品に食べることにした。父君が困っている姿を俺はあまり見たくない。にしても慣れない事をするせいで背中がモゾモゾする。
そんな私をみて両親は微笑ましそうにしていた。弟はモジモジしていた。
弟よ、何故そんなにモジモジしているんだ。
「ご馳走様でした」
食事を終え、俺は自室へと戻ることにする。
「ご馳走様!」
直後に弟も食事を済ませ、私の後をチョコチョコとついてきて自室へと向かう。
背後に弟の気配を感じつつ階段を登っていると不意に声を掛けられる。
「ねえ、学校楽しい?」
なんという質問を浴びせてくるのだ弟よ。自慢じゃないが友達いないんだぞ。
どう答えたらいいのか悩んでいるとまた声を掛けられる。
「ほら……恋人とかいないの……?」
なるほど、弟はどうやらそっち方面に興味津々らしい。
それならば答えやすい、答えはイエスだ!
「恋人は誰もいないよ」
「え、そうなの?」
意外と言わんばかりに弟は目をパチクリとさせながら質問してきた。
大きな瞳が俺のことをじっと見つめてくる。
我が弟ながら可愛いなと思う。