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父娘の祝杯

作者: Irene
掲載日:2014/12/31

こっそり投稿

さくさくと雪を踏みしめる。

貴方の居る場所へと続く道を………

貴方が褒めてくれたドレスを着て、

暗いクライこの道を歩く。


昔の思い出が次々と溢れだす。

初めて会ったときのこと、

初めて怒られたこと、

初めて褒めてくれたこと………


思い出しながら一人微笑む。

ああ、なんて幸せな思い出、

貴方が側に居ない今でも、

思い出が私を支えてくれる………


雪が積もった門をくぐる。

鈍い音があたりに響く、

遠くから微かに聞こえる音楽。

貴方に届いてるかな?


しばらく歩いた後、立ち止まる。

懐から出したのは自家製のキャンドル。

アスフォデリネとフジバカマを練りこんだそれは、

貴方を思って作った物。


続いて取り出したのは今年のワインと二つのグラス。

貴方と毎年飲んでいたそれ。

幼きあの頃飲んだものと同じ、

貴方が愛した唯一のワイン。


地べたに座る、、二つのグラスにワインを注ぐ………

一つは貴方に、もう一つは私に。

空に掲げた後、一気に飲み干す。

変わらないこの味が愛おしい………


教会の広場の方から大きな音。

その後夜空に咲き誇る花々………

一つ、二つと続く。

三つ目は比べ物にならないほど大きなものだった………


音が止み、また静寂。

その後始まった陽気な音楽。

私は立ち上がり、

それに合わせて踊り始める。


さくっさくっと、雪が踏まれる音。

貴方との思い出を懐かしみながら踊る。

不意に上げた視線、

そこに貴方が居た。


最後に会ったときと変わらない。

その暖かな視線を受けながら踊り続ける。

感謝と歓喜と少しの寂しさを交えて、

毎年のように踊る。


音楽が止まり踊りを止める。

もう一度、貴方がいた場所に視線を向ける………

誰も居ないそこを見て、

泣きそうな自分を自覚する。


ワインの入ってるもう一つのグラスとボトルを取り、

そしてそれを貴方の墓標にかける。

とくとくとくとく、一定のリズムで。

生前の貴方に注いでいた時のように………


空になったボトルと二つのグラスを回収し、

墓標に書かれている貴方の名前をなぞる。

不意に感じた冷たいもの。

雪がまた、降り始めた………


帰路へとつくその前に、

もう一度貴方のことを思い出す。

いまだ色褪せない記憶の中で、

貴方は私に笑顔を向けた………


開いたままの門を潜る。

その時背中に感じた暖かな感触………

振り向いた先には誰も居ない。

でも、貴方だと解った。


ねえ、ねえ、見てる?

私は元気だよ?もう大丈夫だよ?

だから遠いその場所から見守ってて?

貴方が思ってた以上に幸せな人生を送るから。


そう思いながら門を閉める。

頬に流れたのは最後の涙………

鐘が鳴り、新たな年の来訪を告げる。

そして私は、今年始めの一歩を踏み出す。


そして高らかに、明らかに声を張り上げる。

遠い空に届くように、

貴方にも届くように、

そして、私が前に進めるように………


                 

                   “新年、明けましておめでとう!!”

フジバカマの花言葉は“あの日の思い出”

アスファデリネは誕生花だから使用


皆様よいお年を~

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