断界戦線本部
巨大な門が静かに開く。
蒼真は思わず立ち止まった。
「……ここが」
目の前に広がっていたのは、想像していた施設とはまったく違う光景だった。
巨大な金属の建物。
空へ伸びる塔。
透明なガラスの通路が空中を横切り、青い光のラインが地面を走っている。
まるで近未来都市のような景色だった。
蒼真は呆然と呟く。
「……すごい」
悠雅が横で言う。
「断界戦線の本部だ」
「戦闘だけじゃない。研究や情報管理も全部ここでやってる」
蒼真はゆっくりと歩き出す。
建物の入口が自動で開く。
中に入ると、白い床と光る壁が広がっていた。
天井にはホログラムのような映像が浮かび、
巨大なスクリーンに世界地図が映し出されている。
蒼真は周囲を見回す。
「……基地っていうより、未来の研究所みたいだ」
迅が軽く笑う。
「まあ、普通の組織じゃないからな」
そして、少し後ろにいる人物へ視線を向けた。
「それと――覚えてるだろ」
「鬼を操っていたやつだ」
蒼真は思い出したように振り返る。
「あ……!」
フードをかぶった人物が肩をすくめる。
「そんなに驚くこと?」
軽く笑いながらフードを外す。
「自己紹介してなかったね」
「鬼堂灯真。技能は鬼だよ」
蒼真は目を丸くする。
「鬼を……操れるんですか?」
灯真は軽く笑う。
「さすがに本物じゃないけどね。すごいでしょ?」
迅が横で説明する。
「断界戦線には戦う者だけじゃなく、技能を研究する者もいる」
「灯真はその中でも生物の制御を担当している」
灯真は蒼真を見てニヤッと笑った。
蒼真は驚いたように灯真を見る。
「生物……?」
灯真は軽く笑う。
「鬼もその一種ってだけさ」
「擬似的に作った生物や、危険な存在を制御するのが僕の役目」
悠雅が横で小さく言う。
「つまり、さっきの鬼も灯真の仕業ってわけだ」
灯真は肩をすくめる。
「試験だからね」
蒼真は少し驚きながらも、ここがただの戦いの場所ではないのだと改めて感じていた。




