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断界の英雄  作者: 明太子
天断来臨
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傀儡の中枢

静寂。


泥に覆われた地面。

砕けた人形の残骸。


またあの音が聞こえてくる。

ぐちゃり。


足元の泥が揺れる。


奏が反応する。

「また――」


言葉が終わる前に影が跳んだ。

その影は一直線に向かっていく。


狙いは――奏。

「っ!?」


目の前に迫る人影。

避けられない距離。


その瞬間、二つの影が割り込む。


鈍い金属音。

蒼真の刀が振り上げられ、攻撃を弾く。


同時に、灯真の影が広がる。


「黒魍」


影から現れた鬼が腕を振るい、衝撃を受け止める。

そしてそのまま衝突。

重い一撃が弾かれ、地面に叩きつけられる。


泥が跳ね上がり、奏が後退する。

「……っ、助かりました」


蒼真が前に出る。

刀を構えたまま、視線を向ける。

「……来ると思った」


灯真も並ぶ。

「この前と戦い方が変わらないね。人形使いさん」


泥の中から、ゆっくりと人形が立ち上がる。


だが、その動きは明らかに違う。

ぎしり、と首が鳴る。


そして、また口元が歪む。


その人形は笑った。

低い声が響く。

「この前よりもいい反応だな」


奏が息を呑む。

「……あんたが」


人形が一歩踏み出す。

泥が足元で揺れる。

「どうも、人形使いだ」


蒼真が構え直す。

「この前と戦い方は変えないんだな」

「まあな」


軽い口調、だがその目は冷たい。


灯真が低く言う。

「人形使いはよく分かってる。僕たちにとってこの戦い方が一番……厄介だ」


人形使いが肩を回す。

「さっきはよくやった」


その指がわずかに動く。


その瞬間、周囲の泥が反応した。


ぐちゃり、ぐちゃり。


地面が盛り上がる。

再び人形が生まれる。

一体、また一体。


奏が眉をひそめる。

「……まだ出るんですか」


人形使いが笑う。

「終わったと思ったか?」


蒼真が一歩踏み込む。

「終わらせる」


蒼真の斬撃。

だがその直前、横から人形が割り込む。


刀が泥の体を裂く。

しかし本体には届かない。


人形使いがその隙に動く。

一瞬で距離を詰める。


灯真が反応し、影が広がる。


だが、人形使いはさらにその先へ。


背後へ回る。

「遅い」


振り向くより先に衝撃が走る。

灯真の体が押し戻される。


蒼真が即座に踏み込み、斬り返す。

その斬撃を避けるために人形使いは後退。


その間にも、周囲の泥が動く。

新たな人形が立ち上がる。

戦場は再び埋め尽くされていく。


奏が拳を握る。

「本体も動くんですか……!」


蒼真が短く言う。

「混ざってる」


灯真が続ける。

「見失えば終わりだね」


人形使いの笑い声が響く。

「その通りだ」


腕を広げる。

その動きに合わせて、人形が一斉に動き出す。


四方から迫る泥の人形たち。

三人が構えるが、奏がまた前に出る。

「当てればいいんですよね」


人形使いが呟く。

「やってみろ」


泥の戦場。

本体と人形が入り混じる中、

本当の戦いが始まったーー

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