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断界の英雄  作者: 明太子
天断来臨
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傀儡の群れ

もう動かない車のライトが、暗い森を明るく照らしていた。


人形使いの道の前方の地面が、ぐにゃりと動いた。

泥の塊が盛り上がり、形を作る。

腕、脚、頭。


それはゆっくりと――

人形の形になった。


奏が小さく息を吐く。

「……泥?」


だがそれは一体ではなかった。

道の左右の地面が次々に蠢く。


ぐちゃ…

ぐちゃ…


泥が盛り上がり、人の形を作る。


一体、二体、三体。

そしてすぐに――

数十体。


優雅が舌打ちする。

「面倒な数だな」


蒼真が静かに前へ出た。

「……ここは俺たちがやる」


灯真も横に並ぶ。

奏も拳を鳴らした。


迅が振り向く。

「どういう意味だ」


蒼真が答える。

「この数を全員で相手にしたら時間がかかる」


灯真が続ける。

「屋敷が目的地だからね」


奏が笑う。


「だからさ」


三人が並ぶ。


「お前らは先に行け」


響が少しだけ笑う。


「言うじゃねえか」


迅は数秒だけ考えた。


そして頷く。

「……死ぬなよ」


そして他の弐番隊メンバーは屋敷に向かって走り出した。


残ったのは――

蒼真、灯真、奏。


そして、無数の泥人形。


その時だった。

人形たちの奥から声がした。


「へぇ」

男の声で低く、どこか楽しんでいる声。

「仲間を逃がしたのか」


泥人形の群れの奥。

一体の人形が前へ出る。

だがその動きは、他と違う。

まるで中に人間がいるようだった。


蒼真が目を細め、刀を人形使いに向ける。

「また会ったな、人形使い」


男が笑う。

「そう警戒するな」


男はゆっくり腕を上げる。

「俺はただの――泥人形だ」


次の瞬間、周囲の泥が一斉に蠢いた。

地面から新しい人形が次々と生まれる。


十体、二十体、三十体。


奏が口笛を吹く。

「うわ、増えた。」


灯真の影が揺れる。

「……でも全部倒せばいいよね?」


蒼真は刀を抜いた。

泥人形たちが一斉に動く。

ぐちゃりと地面を踏み、こちらへ迫る。


最初の一体が飛びかかる。

蒼真の刀が煌めく。


泥の胴体が真っ二つになる。

だが切れた瞬間、泥が飛び散る。

地面に落ちた泥がまた蠢く。


奏が叫ぶ。

「再生するんですか!?」


次の人形が拳を振るう。

奏がそれを弾き飛ばす。

泥の体が崩れ、地面に叩きつけられる。


灯真の影が広がる。

「黒魍」


影の中から鬼が現れ、人形を吹き飛ばした。


だが、倒しても倒しても泥はまた形を作る。

人形使いが静かに笑った。


「無駄だ。この人形は、いくらでも作れる」


蒼真が刀を構える。

「……なら、作る前に全部壊す」


人形使いの目が細くなる。

「面白い。」


その瞬間、無数の泥人形が一斉に突っ込んだ。


蒼真の刀が閃く。

奏の拳が叩き砕く。

灯真の鬼が暴れる。


泥が飛び散り、地面を染める。


だが、人形の数は減らない。


むしろ――

増えている。


森の奥で、人形使いが笑う。


乱戦が始まったーー

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