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断界の英雄  作者: 明太子
疾風決戦
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時と鎖

蒼真が一番最初に動き出した。

しかしすぐに動きが止められる。

三秒間だけ意識はあるのに動けない。


蒼真はすぐに後ろへ跳ぶ。

「……今のは」


男は肩をすくめる。

「時間だ」


迅が一歩前に出る。

「蒼真」


蒼真は迅を見る。

「最初は俺がやる」


蒼真は小さく頷く。

「分かりました、迅さん」


男は軽く笑う。

「久しぶりだな、迅」


迅は何も答えない。

次の瞬間、地面が弾けた。


迅が一瞬で距離を詰める。

拳が一直線に男の顔を狙う。


しかし男は右手を上げる。

親指と人差し指で小さな輪を作る。


迅の上半身がその輪の中に入る。


一秒。


男の指が閉じた瞬間、迅の体が止まる。

完全に静止した。


蒼真の目が見開く。

「……!」


男はゆっくり迅の横を歩く。

「一秒入った。だから三秒停止」


迅の体は微動だにしない。

男は迅の背後に回る。

「壱番隊のみんなも、これにはよく引っかかったな」


三秒、止まっていた迅の体が動き出す。


その瞬間、迅が振り向きざまに拳を叩き込む。

男は後ろへ跳び、ギリギリで避ける。

「速いな」


迅が言う。

「輪に入れなければいい」


男は笑う。

「理屈はな」


蒼真が前に出る。

「自分も行きます」


迅は頷く。

「来い」


蒼真が地面を蹴る。

鋭い蹴りが男へ飛ぶ。


男は再び指で輪を作る。

しかし蒼真は軌道を変える。


横へ、下へ、輪の中に入らない。


蒼真の蹴りが男の肩をかすめる。

男の目が細くなる。

「へぇ」


迅が横から踏み込む。


拳、肘、回し蹴り、連続攻撃。

男は後ろへ跳びながら回避する。


だが二人の連携が速い。

蒼真が蹴りで逃げ道を塞ぐ。

迅が拳を叩き込む。


男は咄嗟に輪を作る。

しかし蒼真が腕を掴む。

「入れさせません」


男が少し驚く。

迅の拳が迫る。


男は体をひねり、ギリギリで避ける。

だが、頬をかすめた。

血が一滴落ちる。


男は笑った。

「いい連携だ」


風が吹き、三人が距離を取る。


男は指を軽く鳴らす。

「じゃあ」


親指と人差し指で大きな輪を作る。

「少し本気出すか」


蒼真が構え、迅の目が鋭くなる。

男が親指と人差し指で輪を作る。


蒼真の体がその輪の中に入る。

一秒、二秒、三秒。


男が指を閉じた。

「五秒停止」


蒼真の体が止まる。

足も、腕も、完全に動かない。


しかし――

(……動けない)


蒼真の意識ははっきりしていた。

呼吸もできる。

目も見える。

だが体がまったく動かない。

(時間停止……)


男がゆっくり蒼真の前に立つ。

「気づいてるだろ」


蒼真は目だけで男を見る。

男が言う。

「お前の意識までは止めることができない。だから全部見える」


男の拳が蒼真の腹に当たる。

ドン。


次に蹴り。

男が親指と人差し指で輪を作る。


蒼真の体がその輪の中に入る。

一秒、二秒、三秒。


男が指を閉じた。

「五秒停止」


蒼真の体が止まる。

足も、腕も、完全に動かない。


しかし――

(……動けない)


蒼真の意識ははっきりしていた。

呼吸もできる。

目も見える。


だが体がまったく動かない。

(時間停止……)


男がゆっくり蒼真の前に立つ。

「気づいてるだろ」


蒼真は目だけで男を見る。

男が言う。

「お前の意識までは止めることはできない。だから全部見える」


男の拳が蒼真の腹に当たる。

ドン。


次に蹴り。

ドン。


さらに肘。

ドン。


蒼真はそれを全部見ているのに避けられない。

(まずい……)


男が笑う。

「この能力の嫌なところはな、時間が動き出した瞬間」


男が蒼真の肩を軽く叩く。

「一気にダメージが来る」


五秒間の時が過ぎた。


瞬間――

「ッ!!」


蒼真の体に衝撃が一気に走る。

腹、脇腹、胸。

蓄積されたダメージが同時に来る。


蒼真は数メートル吹き飛び、地面を転がる。

迅の目が鋭くなる。


男は肩を回す。

「見えてるのに避けられない。どんな感じだ?」


蒼真はゆっくり立ち上がる。

息が荒い。


「……確かに」

少し笑う。

「厄介ですね」


迅が前に出る。

「蒼真」


蒼真は頷く。

「大丈夫です」


蒼真は構え直す。

「ですが」


蒼真の目が鋭くなる。

「弱点は見えました」


男が少し笑う。

「ほう」


蒼真が地面を蹴る。

「次は入りません」


迅も同時に踏み込む。


元壱番隊の時間使いと、弐番隊。

戦いはさらに激しくなっていく。

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