嵐の後
草原に静かな風が流れていた。
先ほどまで吹き荒れていた嵐は完全に消え、空にはゆっくりと雲が流れている。
しかし地面には戦いの跡が深く刻まれていた。
裂けた大地、砕けた岩、抉り取られた草。
そして無数の鎖。
迅は鎖を一本ずつ回収しながら歩いていた。
ジャラ……ジャラ……
金属の音だけが静かに響く。
少し離れた場所では颯が膝をつき、肩で大きく息をしている。
翠霞は座り込み、冷静に周囲を見渡していた。
「……あの天狗、本気を出していなかったわ」
颯が苦笑する。
「ほんとに?……あの暴れっぷりで?」
悠雅は立ったまま草原を警戒しながら答える。
「でも、逃げたのは確かだな」
雷牙は仰向けのまま手をばたばたさせて、口を開く。
「ちぇー、逃げるなんて卑怯だな!オレももっと戦いたかったのに!」
颯に蹴られそうなほど元気に叫ぶ。
翠霞は淡々と続ける。
「助けが来たから逃げたのよ。人形使いと蝶使い……あの二人だ、しかも蒼真と灯真さん、響さんと玲司さんが倒しきれてない。あの二人も相当強いよ」
雷牙は頭を上げて目を丸くする。
「おお、例の二人か!やっぱり手強い連中だな!」
悠雅が少し冷めた声で言う。
「仲間……じゃない。あれは組織だ」
迅は最後の鎖を回収しながら静かに言った。
「ああ。おそらく次はもっと厄介になる」
雷牙がにやりと笑い、まだ寝転んだまま手を振る。
「いいぜ!オレは面白い戦い大歓迎だ!」
翠霞は少しだけ眉をひそめる。
「……油断しないで」
風が草を揺らす。
嵐は終わった。
だが――
戦いはまだ続く




