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断界の英雄  作者: 明太子
疾風決戦
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風の支配者

草原は、すでに戦いの痕で荒れていた。


踏み荒らされた草。

えぐれた地面。

遠くでは蒼真たちの戦闘の余波で砂煙が舞っている。


その中心で――

一人の男が空中に立っていた。


風に乗るように、わずかに浮いている。

長い外套がはためき、黒い髪が風に流れる。

天狗の技能を持つ男は、楽しそうに四人を見下ろしていた。


「毒、雷、重力、風」


ゆっくりと指を折る。

「なかなかバランスのいいチームじゃないか」


その言葉に雷牙が舌打ちする。

「分析してる余裕かよ」


拳に雷が走り、青白い光が草原を照らす。


翠霞は静かに息を整え、指先に毒を集める。

紫色の液体が刃のように形を作る。


颯は体を低く構え、風を纏う。


悠雅は足元の草を見つめながら、ゆっくりと手を上げた。


空気が重くなる。


見えない圧力が地面を押し付ける。


「ーー重圧領域」


天狗の男が少しだけ眉を上げる。

「おっと」


その瞬間、雷牙が地面を蹴った。

草が弾け、雷が走る。


一瞬で距離を詰める。

「紫電撃!!!!」


雷を纏った雷牙の拳が天狗に振り抜かれる。


ドンッ!!


天狗の腹に直撃し、衝撃で男の体が数メートル吹き飛ぶ。


そして吹き飛んだ天狗の着地地点にーー

颯がいる。

「ーー嵐脚」

颯が風を纏った蹴りを天狗に打ち込む。


ドォン!!


颯の蹴りは顎を打ち抜き

天狗の体がさらに吹き飛び、地面を転がる。


草が舞い上がった瞬間、翠霞が腕を振る。

「ーー毒針!」


毒の針が空気と天狗の胸を撃ち抜く。


ザシュッ


針が男の胸を貫き、紫色の毒が傷口から広がる。


草原の風が一瞬止まる。

四人は構えたまま動かない。


だが――

男はゆっくり立ち上がった。


傷口が蠢き、肉が動き、皮膚が閉じていく。


その数秒後、何事もなかったように元通りになった天狗は肩を回す。


「だから言っただろ」


ニヤリと笑う。


「効かないって」


その瞬間、風が鳴った。


ヒュン――


姿が消える。

雷牙が振り向く。


「どこだ!」


ドゴッ!!


背中に衝撃が加わった後雷牙の体が草原を滑る。


雷牙が飛ばされた瞬間、颯が反応する。


だが天狗はすでに空中。

そのまま風を蹴る。


ヒュンッ


悠雅の横に現れる。


ドン!!


肘打ち、

悠雅が地面に叩きつけられ、草が大きく沈む。


翠霞が毒霧を広げ、紫色の霧が草原を覆う。


だが男はその中をゆっくり歩く。


「視界の制限か」


霧の向こうで天狗の絶望を誘うような笑い声。


「悪くない、そういうことは積極的にするべきだと思うよ!」


その刹那、巻き起こった突風。


ドォン!!


霧が吹き飛び、四人が同時に後ろへ弾かれ、草原が大きくえぐれる。


雷牙が膝をつきながら立ち上がる。

「……速すぎる」


颯が息を整える。

「しかも魔獣しか持ってないはずの再生付き」


悠雅もゆっくり起き上がる。

翠霞が静かに呟く。

「完全に化け物だね」


天狗の男は空中に浮かびながら笑う。

「いいね!いいね!!」


風がさらに強くなり、草が波のように揺れる。


「四人でもまだ余裕あるじゃないか」

目が細くなり、天狗が1歩、また1歩と踏み出す。

天狗が1歩歩くと同時に風が爆発する。


「次は――」


「俺の番だ」


その瞬間、空気が裂け、天狗の姿が消えた。


四人の背筋に冷たい感覚が走る。


ここから先は――

自分の命を守る戦いになる。

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