刃の森、影の予兆
森の中、蒼真は刀を握りしめ、悠雅の重力操作に合わせて森の空間を駆け回る。
枝や葉の角度、宙に浮かぶ小石、あらゆる障害物が彼の判断力を試す。
「速さだけじゃ駄目だ…!」蒼真は声を出さずに心の中で叫び、回転しながら飛来する石を刀で弾く。
悠雅は微笑みながらも真剣だ。
「速度と制御、どちらもかなりの高水準の数値を叩きだしてる」
迅さんは鎖を揺らし、静かに見守る。
「よし、蒼真。速度だけでなく判断力も体に染み込んでいるな」
蒼真が息を整えて頷くと、迅さんは微笑みながら一歩後ろに下がった。
「さて、私の役目はここまでだ。森の奥の訓練は、もう君自身の力で乗り越えろ」
森の木々の間をすり抜けるように、迅さんは静かに森を離れていく。
その背中を見送る蒼真は、少し寂しさを感じながらも、刀を握りしめる手に力を込めた。
「…僕が、この森で…自分の力を試すんだ…!」
悠雅はにやりと笑い、重力で木々を微調整する。
「では、私と一緒に最後の確認をしようか。迅さんが見ていない今、君の力がどこまで通用するか試すんだ」
蒼真は刀を構え、森の中で悠雅と自分の判断力と速度を試す準備を整えた。
森にはまだ風のざわめきが響き、集中を促す――しかし、ここから先はもう自分自身の力だけで乗り越える試練だ。
悠雅の重力操作に合わせて一歩、また一歩と駆け出した――
森を駆ける覚醒者の影が、静かに森を切り裂くように伸びていく。
そして、森の奥深くから――まだ正体の分からぬ影が、ひそかに二人に近づきつつあった。




