隙間の一撃
草原に一体だけ残った人型――それが人形使いだった。
蒼真は二刀を握り直し、呼吸を整える。
「……行くしかない」
人形使いは小さく笑い、軽やかに構える。
その動きは規則正しい人形とは全く違い、今まで対峙した魔獣には無い俊敏さを持っていた。
蒼真は突進し、二刀で斬撃を繰り出す。
しかし、相手はすべての攻撃を巧みに避ける。刃は一度も当たらない。
「……くそっ、全部避けやがる……! 化け物か……!」蒼真は背筋に冷たいものを感じる。
人形使いは逆に一歩踏み込み、鋭い蹴りを放つ。
蒼真は間一髪で避けるが、衝撃で地面に小さなひびが走る。
遠くでは灯真が金棒を振り回し、鬼を駆使して残りの人形を撃破していた。
「こっちも人形が多い!助けに行けない、ごめん!」灯真の声が草原に響く。
蒼真は二刀を交差させ、相手の動きを封じようと試みる。
だが、人形使いは微動だにせず、回避一つで攻撃をすべてかわして見せる。
「なるほど……二刀流か」と人形使いは微笑む。
蒼真の目には、まるで魔獣の殺意そのものが迫ってくるように見えた。
人形使いは素早く身を翻し、蒼真の刃を避けると、次の瞬間には鋭いパンチを振り上げて蒼真の防御を崩そうとする。
蒼真はすんでのところで二刀を交差させ、打撃を受け流す。
「くっ……一瞬も気を抜けない……!」
人形使いは連続して回避と牽制を繰り返し、攻撃を受けずに蒼真を追い詰める。
蒼真も必死に閃きを駆使し、二刀を光のごとく振り抜き反撃の隙を探す。
そしてその瞬間が来た。瞬間の呼吸の差。人形使いが1歩前に踏み出した瞬間、蒼真の刀は人形使いの横腹辺りを少しだが掠めていた。
人形使いは一瞬目を細め、驚きの表情を見せる。
だが、すぐに冷静さを取り戻し、次の攻撃態勢を整える。
「……まだ終わらない……か」蒼真は息を整え、視線を鋭くして次の動きを探る。
草原に張り詰めた緊張の中、蒼真と人形使い――互いに一歩も譲らない攻防は、まだ続く。




