蒼真と翠霞
拠点の片隅で、仲間たちが軽く談笑している昼下がり。
翠霞たちと出会ってから約1週間が経過しようとしていた。
翠霞が蒼真の方に歩み寄り、柔らかく声をかけた。
「蒼真、少し外に出ませんか?あの近くのラーメン屋、気になっていて……」
蒼真は微笑み、軽く頷く。
「いいね。久しぶりに外で食べるのも悪くない」
二人は拠点を出て、街を少し歩いた先にある、小さなラーメン屋へ向かった。
店内は暖かく、湯気と香ばしいラーメンの匂いが漂っている。
翠霞は楽しそうにメニューを眺めながら言う。
「ここの味噌ラーメン、有名らしいんです。蒼真は何にしますか?」
蒼真は落ち着いた笑みを浮かべて答えた。
「じゃあ、僕も味噌ラーメンにしよう。翠霞は?」
翠霞はにっこり笑い、
「私も味噌にします。二人で一緒に食べると美味しさも倍ですね」
注文が届くまでの間、二人は少し世間話を交わす。
「最近は仲間たちも順調に回復しているね」
「はい、皆が頑張っているので、蒼真も安心して戦えます」
悠雅や灯真や玲司、響たちの顔を思い浮かべながら、蒼真は優しく微笑む。
「うん、みんなのおかげだ。翠霞もありがとう、こうして誘ってくれて」
翠霞は少し照れながらも、柔らかく微笑んだ。
「蒼真の笑顔が見られるなら、私も嬉しいです」
やがて湯気の立つ味噌ラーメンが運ばれてくる。
翠霞は箸を手に取り、軽く微笑む。
「じゃあ、いただきます」
蒼真も微笑み、
「いただきます」
二人は一口ずつラーメンをすすりながら、戦い前の短いひとときを楽しむ。
湯気の向こうで見える翠霞には、仲間たちの気配も感じられる。
「……翠霞、このひととき、少しだけでも落ち着けるね」
「はい。こうして少しでも穏やかに過ごす時間は、大切です」
言葉にしなくても通じる安心感。
蒼真と翠霞の間には、静かで温かな空気が流れていた――
窓の外では風がそよぎ、街の動騒が聞こえてくる。
戦いはまだ先にあるが、今、この時間だけは二人だけの穏やかな休日だった。




