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翠緑の霧
平原に広がる戦場は、静寂だけが残っていた。
砂塵と魔獣の残響が漂う中、蒼真たちは倒れ、動くことすらできない。
蒼真はかろうじて目を開ける。視界の端に、ぼんやりとした影が近づいてくる。
「……誰だ?」と呟くが、声はかすれて出ない。
その影が形を取ると、そこにいたのは可愛げがある女の子だった。歳は自分と同じほどに見える。
優しい笑みを浮かべた彼女は、静かに手を差し伸べる。
「大丈夫……安心して。私が回収するから」
彼女の手元から、淡い緑の霧がゆっくりと広がる。
霧は蒼真たちの体を包み込み、温かさと守られる安心感を同時に伝える。
その後ろには、迅さんもいて、警戒しながら戦場を見渡している。
迅さんが静かに言う。
「敵はまだ残っている、早く回収しよう」
彼女は微かに蒼真の肩に触れ、優しく励ます。
「さあ、起きて……私たちがいるから」
蒼真は微かに頷き、意識を戻しつつ心の中でつぶやいた。
「やっと終わった…」
平原に残る静寂と戦場の残響は、彼らの回復とともに次第に消え、再び戦うための時間を与えられた。




