光速の刃、引力の影
森の木漏れ日が、地面に細かく揺れる。
天城蒼真は鎖を持つ迅さんの前に立っていた。
あれから3年――少年は成長し、体つきも鋭くなっている。剣の能力も、覚醒時だけでなく少しずつ自在に操れるようになっていた。
「今日からは、ただ斬るだけじゃない」
迅さんが静かに言う。
「敵を見て、剣の軌道をイメージしろ。君の剣は、心が思うままに動く。理解できるか?」
蒼真は剣を握りしめ、真剣な顔で頷く。
「今日からは、ただ斬るだけじゃない」
迅さんが静かに言う。
「敵を見て動け。剣の力だけに頼るな。体と反応を鍛えるんだ」
蒼真は刀を握りしめ、真剣な顔で頷く。
「はい、迅さん…体で戦います…!」
森の奥、霧の中から小型の魔獣の影が現れる。
蒼真はその姿に一瞬息を呑む。
動きはまだ穏やかで、攻撃してくる気配はない。
「…魔獣か…」蒼真は小さくつぶやく。
迅さんは静かに鎖を揺らす。
「焦るな。今は見るだけだ。動きを観察して、体の感覚で反応を覚えろ」
蒼真は刀を握り直し、魔獣の動きを目で追う。
光を帯びた体で爪を振り、俊敏に跳ねる。
「…来たか!」
蒼真は瞬時に距離を詰める。
一歩、二歩…高速で森を駆け抜ける。
木の枝を蹴って飛び、地面に着地した瞬間に体をひねる――
魔獣の攻撃軌道を読み、瞬時に回避して再び斬りかかる。
まだ剣を出すことしかできないが、スピードと体の軸で攻撃を当てることに成功。
魔獣は呻き、倒れた。
蒼真は息を整え、刀を握る手を見下ろす。
「速さだけでも…戦える…!」
迅さんは微笑み、鎖を軽く揺らす。
「その通りだ、天城蒼真。スピードと判断力があれば、力に頼らず戦える。これが技能者の基礎になる。君の身体能力…特に速度は、異常だ。普通の技能者でもここまで動ける者は滅多にいない」
蒼真は刀を握り、少し顔を赤らめる。
「…そんなに速いんですか?」
「うむ、あれくらいの敵を前にしても動きを先読みできるレベルだ。さっきくらいの魔獣と戦うのは最高の機会だろう」
「ありがとうございます…!まだまだですが、もっと速く動けるように…!」
迅さんは目を細める。
「その調子だ。速度は君の武器だ。それに判断力を合わせれば、力に頼らずとも戦える」
迅さんとの会話が終わった瞬間、森の高台の方で小石や落ち葉がふわりと宙に浮いているのが目に入る。
蒼真が目を凝らすと、そこには自分より少し年上と見える少年が立っていた。
少年は穏やかに微笑みながら、浮かぶ小石に手をかざす。
「君が…天城蒼真か」
蒼真は刀を握り直し、構えを低くする。
「はい…まだ初心者ですが…よろしくお願いします」
重力使いは軽く頷く。
「私は重村悠雅、少し君より年上だ。戦いの感覚は身体で覚えるものだな、と思ってここまで来てみた」
迅さんが鎖を揺らしながら紹介する。
「この少年が、君の修行に少し付き合うことになるだろう」
蒼真は少し戸惑いながらも、仲間の存在に胸を高鳴らせる。
「よろしくお願いします…!」
悠雅は小石を指先で弾き、宙に浮かんだ小石がゆっくり落ちる。
「まずは、体を動かす感覚を大事にしろ。速度は強いが、制御できなければ意味がない。…これが君の才能を試す小さな課題だ」
蒼真は一瞬よろめく。
「え、課題…ですか?」
悠雅は落ち着いて言う。
「宙に浮かぶ物体を避けつつ、同時に攻撃を加えろ。スピードだけでなく、制御力も試される」
蒼真は刀を握り直し、目を研ぎ澄ませる。
「わかりました!」




