余裕の先導者
初任務を終えた蒼真たちは、断界戦線本部へ戻っていた。
巨大魔獣との戦闘で消耗した体を、少しずつ整えながら進む。
本部の超近未来的な施設の扉をくぐると、四角い光の廊下が伸びていた。
壁面には無数のスクリーンが並び、各地の状況が映し出されている。
「まあ、普通の組織じゃないからな」
蒼真が小さく呟く。
その時、廊下の奥から静かに現れた男がいた。
鋭い目を持ち、黒いフードを被るその姿―
「……鬼堂灯真」
玲司が短く名を呼ぶ。
灯真はゆったりと腕を組み、淡い笑みを浮かべている。
その余裕は、まるで戦いを楽しんでいるかのようだ。
「君たちも、やっとここまで来たか」
灯真の声には余裕が滲み、蒼真の緊張を少し和らげる。
「この施設の仕事は、ただ戦うだけじゃない」
「予測不能な事態に対応する――それが僕の役目だ」
蒼真は少し息を飲む。
「……僕たちにですか?」
灯真は軽く頷き、手を前に差し出した。
「そうだ。まずは君と二人で、次の任務を試してもらおう」
悠雅や響、玲司が見守る中、蒼真は刀を握り直す。
「はい……任せてください」
灯真は片手を上げ、空間の端を軽く叩くように動かす。
「では、行こう。余計な心配は無用だ――君ならできる」
二人は瞬間的に廊下を駆け抜ける。
施設の光が流れる中、蒼真と灯真――新人と余裕の達人が、新たな任務へと踏み出した。
廊下の先には、まだ見ぬ魔獣の影と、予測不能な戦場が待っている。




