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訓練場の戦い
魔獣が地面を蹴り、蒼真へと突進する。
その瞬間――
蒼真の姿が、消えた。
「……っ!?」
次の瞬間、蒼真はすでに魔獣の横へ回り込んでいた。
床を蹴った音すら、ほとんど残っていない。
迅は静かに目を細める。
「速いな」
蒼真は刀を構え、低く言う。
「はっ!」
刀が振り抜かれる。
銀色の軌跡が空気を裂き、魔獣の体をかすめた。
魔獣が咆哮する。
鋭い爪を振り上げ、蒼真へと襲いかかる。
だが――
蒼真はすでにその場にいない。
残像のように姿を揺らしながら、次の瞬間には背後へ回り込んでいた。
「動きは……読める!」
蒼真は再び地面を蹴る。
一瞬の加速。
そして――
刀が閃いた。
鋭い一撃が魔獣の体を斬り裂く。
魔獣は大きくよろめき、床に崩れ落ちた。
訓練場に静寂が戻る。
蒼真はゆっくりと息を吐いた。
刀を下ろす。
「はぁ……」
悠雅が口笛を吹いた。
「やるじゃん」
「前より速くなってるな」
迅は静かに頷く。
「うむ」
「速度だけではない」
「動きの読みも上がっている」
蒼真は少し照れくさそうに笑った。
「まだまだです」
迅は鎖を軽く揺らす。
「だが、その速さは確かに武器だ」
「磨けば、誰にも真似できない力になる」
蒼真はその言葉を聞き、静かに頷いた。
断界戦線本部での最初の戦いは、こうして終わった。
だが――
蒼真の戦いは、まだ始まったばかりだった。




