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断界の英雄  作者: 明太子
始まりの風
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天城蒼真

森の奥、木々の間から差し込む陽光が地面を斑に照らしていた。

少年は荒い息を吐きながら、手にした棒のような木片を握り締めていた。


「…これが…俺の力…?」


まだ形も定かでないその力――剣を出すだけの能力――は、想像のままの形でしか現れない。

棒を振ると、空中に一本の刀がひょいと現れ、ぎこちなく振れるだけだった。


突然、黒い影が森の奥から現れる。

小さな敵のようだが、目は冷たく、人間のそれではなかった。


「…やられるわけにはいかない!」


少年は思い切って空中に浮かぶ刀を握る。

刀を握る手に集中し、心の中で刀をイメージする。

自分の手の中の一筋の刃が、かすかな軌跡で敵の腕を落とす。


しかし人間では無いものは落とされた腕を再生しながら近づいてくる。少年は恐れずに踏み込む。

まだ複雑な動きを使うこともできず、1本の剣を出すだけ。ただ、目の前の敵に剣を当てるだけ。


刀が折れ、地面に小さな穴が開く。

一度はそれが攻撃をしかけようとするが、少年の刀がわずかに交わす。

その一瞬の間に、少年はもう一本刀を出して間合いを取った。


その瞬間、木々の陰から鎖の音が響いた。

「フフ…随分と力強いな」


姿を現したのは、鎖を手に持つ人物。

「……君は…」

少年は目を見開く。

「兄の…知り合い…の…?」


鎖使いは微かに頷いた。

「そうだ。君の兄とは昔から戦った仲だった…もう君も知っている通り、彼はもういない」


少年の胸に、兄の存在がずしりと重くのしかかる。

「……兄さん……」


鎖使いは距離を取り、森の中で戦闘体勢を取った。

「さて、君の力を見せてもらおうか。まだ未熟だろうが…その刀、どれだけ使いこなせる?」


少年は刀を握り直す。

まだ振ることしかできない、ただの一本の剣。

だが、兄を越えたいという想いと、今目の前に立つ鎖への信頼の芽が、少年の中で力を引き出した。


少年の刀が空中で光を帯び、黒い影に向かって真っすぐ伸びた。

鎖使いは軽やかに鎖を操り、攻撃を避けつつ少年の剣を絡め取ろうとする。

初めての実戦は緊張感に満ちていたが、少年は一歩ずつ、敵を制する感覚をつかみ始める。


戦いの末、黒い影は倒れた。

少年は膝をつき、深く息を吐く。

「……これが…俺の力……少しだけ、使えた」


鎖使いは微笑む。

「うむ。君の兄の面影も少し感じるな。だが、君自身の力で戦うんだ。これからだ、技能者として」


少年は刀を握りしめ、少し震える声で言った。

「兄さんみたいに…強くなれるかな…?」


鎖使いは顔を少ししかめて、木々の間から少年を見つめる。

「強さはな、力だけじゃない。頭と心、それに覚悟だ。君の剣はまだ一本だけだが、心で使えば何本にもなる」


少年は目を見開く。

「心で…刀を…?」


「そうだ。想像力が君の力を作るんだ。敵をどう斬るか、どこを守るか。刀は君が思うままに伸びる。…理解できそうか?」


少年は深く息を吸い、うなずいた。

「わかった…やってみる! 兄さんを越えるために…!」


鎖使いは静かに頷き、鎖を揺らす


鎖使いは少し首を傾げて言った。

「そういえば、君…名前は?」


少年は一瞬戸惑った。

戦いに夢中で、自分の名前を名乗ることすら忘れていたのだ。


「……蒼真…です。天城蒼真です」


鎖使いは微かに笑い、頷いた。

「天城蒼真か…。覚えておこう。蒼真、君の剣がこれからどんな道を切り開くのか、楽しみだ」


少年は握った刀を見つめ、決意を固めた。

「はい…絶対に、兄さんを越える!」


少年は初めて、自分の力と兄の記憶、そして新たな出会いの重みを理解した。

そして、この日から、覚醒した少年の戦いが静かに幕を開ける――

今回の物語の第一歩を読んでくださり、ありがとうございます。


この作品では、技能を持つ若き戦士が、成長していく姿を描いていきます。

1話ではまだ、彼の力の片鱗しか見せられていませんが、これからの戦いや修行を通して、能力や戦術、そして人間らしい葛藤を存分に描いていきたいと思っています。


戦闘の描写やキャラクターの掛け合いは、読者の皆さんにスピード感と緊張感を感じてもらえるよう工夫しています。

また、戦いだけでなく、彼の絆や信念にも注目してもらえると嬉しいです。


これから蒼真が挑む困難と、彼の成長の物語。

どうか最後まで、技能者たちの行く末を見守ってあげてください。

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