夢の怠惰
やばい……マジで、ここから動きたくない。
くそ、アラームがガチでうるさい。止めたい。だけど、そのためにはベッドから立たないといけない。
誰だよ、「どうせ二度寝するんだから、絶対に立たないといけない場所に置こう」とか思いついた馬鹿野郎は。……うん。僕だったわ。これほどまでに過去の僕を恨んだことはないぞ。許すマジ。
だがしかし、現実問題、あれをどうしようか。実に悩ましい限りだ。今こうして悩んでいる間も、あれは泣き喚き続けて、僕の頭を叩いてくる。
だがそれ以上に、僕は一切動きたくなかった。布団とベッドで囲まれた、この絶対領域、ユートピアを壊したくなかった。この領域を開けてしまえば、現実が濁流のように一気に侵入してくる。それは、富士山の天然水で満たされたここを泥水で濁す。そして、現在のような清涼な気分で寝ることは、今日中は二度と叶わないだろう。
よし、あとは家族に任せて、僕はユートピアを楽しもう。アラームも放っといたらいずれ消えるし。
家族の怒声で僕は飛び起きた。無事にユートピアを守りきった気分は、最悪だった。二度寝しようがダルさは増すばかりで、とても億劫だった。1回目で起きたほうが断然清々しい。
そんなことは何度も経験してきたし、わかりきっていた。だが、僕はこれからも二度寝を繰り返し、惰眠をむさぼり続けるだろう。なぜなら、どこまでいってもここは僕のユートピアで、侵されないべき神域だから。




